「彼女と彼女の猫(OVA)」

総合得点
64.2
感想・評価
225
棚に入れた
1100
ランキング
3953
★★★★☆ 3.3 (225)
物語
3.4
作画
3.6
声優
3.0
音楽
3.3
キャラ
3.3

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ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

モノクロで描かれた短編アニメ

このアニメは、新海誠監督の初期作品の一つである。
内容を、一行で言い表すなら、一人暮らしの女性の日常を
一匹の猫(?)視点から描いた物語だ。

この頃から、作画にはとても気合が入っている。
特に水の描写が素晴らしい。
モノクロなのは、おそらく予算の都合上なのだろう。
予算があれば、全編カラーで作りたかった
のではないかと思った。
猫から発せられるセリフも、詩を連想させる。

声に関しては、仕方ない部分がある。
猫の声は、監督本人が行っているが
少し聞き取りづらい印象を受ける。
別の声優を起用したかったのかなと思われる。
それにしても、かなり眠気を誘われる声である。
まるで、催眠術や眠り粉をかけられている様な気分だ。
疲れているときに見ると、ぐっすり眠れそうだ。

全体を通した感想としては、文学的要素が強い印象を受ける。
視聴していて、パッと思いついたのが「吾輩は猫である」だ。
雰囲気がとても似ているような印象を受けたからだ。
私自身、「吾輩は猫である」を熟読していないため
それに関しては深くコメントできない。我ながら恥ずかしい。

この短編アニメには、新海氏の作風を象徴している点が
大きく分けて2つある。

1つ目は、唐突な自分語りをかなりの頻度で使用すること。この作品は、
新海氏が声を担当しているのも相まって、常に自分語りを聞かされる。
人によっては、かなりの拒絶反応が出るだろう。
一部の人が、新海氏の作品に苦手意識を持つのは、これに起因している
からだと考えられる。言い換えれば、自分語りをすんなりと
受け入れられるようになると、ほとんどの新海作品にのめり込むこと
が可能となる。この作品以外にも、何本か視聴したのが、
私にはこの作風とかなり相性が悪かったようだ。仕方ないね。

2つ目は、猫に精神的に依存していること。この頃の作画では猫らしさ
を余り感じられないものの、猫の特徴はしっかりと捉えている。
恐らく、猫に生まれ変わりたいという願望が非常に強いのだろう
猫に自分の魂を憑依させているのだ。これを利用し、自分の作家性を
アピールしているのが彼の狙いという訳だ。
ちなみに、猫の集会という短編アニメも、これと同じ手法を採用している。

新海氏が、猫好きと言われるのはこの考えから来ているの
ではないだろうか。まあ、猫は家庭で飼われているペットの中でも
特に人気の高い動物なので、視聴者が作品に感情移入しやすい
というメリットがある。そう考えると、理にかなった方法ではある。

個人的な意見だが、新海氏は作家として
活躍したかったのではないかと思った。
余計なお世話かもしれないが。
自主制作物の中では、クオリティの高い良作だと思う。

新海誠を理解するうえで、重要な作品の一つなので
はないかと感じた。
芸術性のあるアニメを求めている方には、相性がいいと思う。

※とある方との交流を通じ、気づきがあったので少し
編集しなおしました。

投稿 : 2018/05/16
閲覧 : 369
サンキュー:

17

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