まりす さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
真剣さが生む「滑稽」
「すれ違い青春錯綜系ラブコメ」と銘打って世に出された作品。
青春で恋愛模様が錯綜してたら、普通ドロドロした展開に
なりそうなもんですが、キャラ全員をダメな奴にすることで
コメディにしています。
観ている途中、「何かに似ている…」と思っていましたが
観終わったあとで気付きました。落語です。
落語にはダメ人間が沢山登場します。
だから殺伐も憎しみもあんまり無い。
噺家は心理描写をセリフの言い方で表現するので、
観てる側としては「登場人物が何を考えているか」がよく分かります。
対して本作は 各キャラの「心の声」を多用することで
これもまた、考えていることがよく分かる。
コントのようなボケとツッコミの関係性ではなく、
登場人物は皆真剣です。
残念なキャラ達が思考を巡らせ、しめしめ…と実行したことがカラ回る。
その滑稽さが笑いを誘う。
コメディがキャラを殺伐の鎖から解放した分、話の構成の面白さが
引き立っていると思います。
ただ、ラブコメ故の不自由さと言いますか、
(マクロス7?F?的と言いますか)
三角関係みたいなものを決着させずに話を終わらせることが
本当に多い。
恋の物語がまだ二転三転する、そんな未来が見えているので
オチが付かないわけです。イマイチ歯切れが悪い。
オチがちゃんと付いてるのは6話だけでしょう。
{netabare}1話冒頭に到達するまでの話。
告白という言葉自体に「決着」の側面が含まれていますが、
「意図しない告白」「意図しないOK」そのものがオチになってる
というのは芸術的です。とんでもなく歯切れが良い。{/netabare}
7話以降に6話ほどの爽快さを見いだせなかったのは
上述のような理由からだと思います。
爽快さが減った一方、多めの心理描写で獲得したキャラへの
シンパシーやら愛着やらで結構後半も見れました。
ただ、この後半のノリが続くだけなら2期はいらないかな…
オチの無いすれ違いもそこそこ面白いけどね。
そんな感想です。
お目汚し失礼いたしました。