「蟲師(TVアニメ動画)」

総合得点
87.9
感想・評価
1966
棚に入れた
10548
ランキング
138
★★★★★ 4.1 (1966)
物語
4.3
作画
4.1
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
4.0

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takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

原風景の中の幻想美

ほとんど何の予備知識もなく観始めた初回。
まず、Ally Kerrの歌うOP「The Sore Feet Song」で唸ってしまった。
なんて柔らかで、やさしいんだろう。
整備された庭ではなく、自然そのままの草原のきらめき。
そんな印象からも、物語に対しての期待が高まった。

透明感のある作画も、無駄のない音楽も、どこか懐かしい。
今まで観たどのアニメ作品とも違う新しさを感じつつ、
1話完結型 全26話の物語に、どんどん惹き込まれ、
架空の話のはずなのに、すごくリアリティがあり、
実際に蟲も蟲師も存在するのかも・・と信じたくなるほど。

きっとそれは、多くの現代人が失ってしまっているような
魂レベルでの原風景との出逢いを、そこに感じたからなのかもしれない。
そしてたぶん、蟲が人間の言葉を使ったりしないということも大きかったように思う。

主人公は蟲に関するあらゆる事件を扱う、蟲専門の医者、研究者であるギンコ。
また、ギンコ以外は、ほぼ1話ごとに登場人物が違うのも特徴。

これまで、霊的なものや妖怪、怪異など扱った作品はさまざまあったが、
この『蟲師』で描かれる話は「蟲」により引き起こされる様々な謎を解き明かしつつ、
人に憑依して害を及ぼすような蟲であっても、むやみに退治するというのでもなく、
登場する人物の背景によっては、決してハッピーエンドでもないので、
そういう部分でもリアリティを感じたのかなと。

そしてなぜそうなのかを考えれば、蟲というものは結局、
生態系の中に生まれる精霊に近い、命の源流のようなものだから、
自然と人とのベストな距離を保ちつつ、本来は共存していくべきものなのだろうと、
観ている間そんなことを考えていた。

ちなみに、EDも各話ごとに違い、曲も幽玄の世界というか、心の奥を
そっと叩いてくるような静かで美しい曲ばかりなので、じっくり余韻に浸れる。
同時に、この作品の丁寧な作りに驚かされながら、スタッフさんたちの愛情も感じた。

どの話も秀逸と思うけれど、個人的に特に心にやきついているのは
「緑の座」「瞼の光」「沖つ宮」「籠のなか」「暁の蛇」「一夜橋」「綿帽子」「春と嘯く」

しみじみと、人間というものの儚さを考えさせられ、
そんな命を大切にしたくなる作品だった。

投稿 : 2013/02/05
閲覧 : 853
サンキュー:

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