移リ木うらら さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
1話から24話までの変遷に刮目せよ
全ては輪になる。
白は黒に。善は悪に。それは止まることなく廻り続ける。
と、いうものすごーく深いテーマを24話を通して淡々と伝える話。
ヒーロー物でありダークヒーロー物であるんですよ。
定めていないところがこの作品のすごい所だと思います。
爽快感や熱血さは無いのでひたすら淡々と進んでいきます。
基本的に1話完結。あまりのあっけない幕間に「これで終わり?」と思う話もあるのですが……
最終話が全ての物語を拾って救ってゆくこの構成がすごい。
――彼は死を知らない人たちの死となった。
生であったキャシャーンは、生。光。白。善。美しさ。の権化で「愛」そのもの。(陰陽で例えるならば【陽】)
しかし、その反対側を持つ者達に恨まれ、嫉妬され、嫌われることで物語は進んで行く。(こちらは【陰】)
彼は自分の在り方に疑問を持ち続け。自分が自分であることに納得できずにいる。からこそ自分を探すために生きる。それがこの物語の素。
誰からも羨ましがられるはずの存在のキャシャーンは、けれど生きていくことで出会うたくさんのロボット達をみて、その陰の美しさに惹かれていくし。陰も見方を変えれば、彼らが自分を見る眼その物の姿になることに気が付きます。
だからこそ、彼は永遠の生を最終的には許容し。
死を忘れないことを約束させ、無いはずの死を人々、ロボットに植え付け。
死の美しさを問うて消えるのですが。
このときのキャシャーンは1話であったときの彼。
【陽】の要素から【陰】に要素が転じているのが、すっごい!!!!
そうして、こんな風に書いてる私もいまいち納得できな結論というか、在り方を出した話もありました。けれど、納得できない自分。受け入れられない自分。でも良いという物語です。
このダークな物語を牽引するOP「青い花」がとても素晴らしいのでそれだけでも聴いてみて欲しいです。EDもとてもいいです。物語ととても合っています。
もっともっと、この物語の言わんとすることが分かるような人になりたいなぁと思いました。
(死が怖いと怯える彼女の言葉はイットフォロワーズっていうホラー映画のテーマにも通じるなぁとか)
――生きているから愚かで醜い死が訪れる。
あれ、これって生と死? 神と死神?
神を享受した世界だからこそ死神を享受することができる?