yuugetu さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
料理だけでなく人間関係やドラマ性も魅力。空腹時の視聴にはご注意を!
2017年夏アニメ。全12話。ライトノベル原作。未読です。
個人的にほのぼのはあまり好きではないのですが、それを知っている友人がそれでも、と勧めてくれたので視聴。雰囲気も良く、シンプルながら味わいのある作品です。
地味に飯テロかましてくるので食事しながら見た方が良いかもw
洋食店「ねこや」は、なぜか毎週土曜にのみ異世界の複数の場所とお店の扉で繋がってしまいます。そこから来店する異世界のお客さんに美味しい料理を食べてもらう、というシンプルな物語。
料理を美味しそうに食べる異世界の住人(人間、魔物、エルフ、獣人や妖精などいろんな種族)を見て和み、ひっそりと語られる彼らのドラマや時に繋がる緩やかな人間関係を眺める作品です。ほのぼのながらキャラクターの関係性があるので、そこが気に入れば二周目の視聴も楽しめるのではないかと思います。
作画は美味しそうに食べるキャラクターを丁寧に描いているのが良いですね。料理自体は手描きの良さなのか、徹底的に作り込んでいなくてもとても美味しそうに見える不思議。演出は丁寧に料理のおいしさを表現していて、くどかったり大袈裟だったりしない穏やかさが魅力的でした。
音楽は全体的に穏やかで作品には合っていますが、一周のみの視聴だとあまり耳には残らないかも。EDが曲も絵もお気に入りです。
ベテラン声優さんが多くて、短編の連続の中でキャラクターの人間性を感じさせる味わい深さがありました。アレッタ役の上坂すみれさんは好演でしたね。
キャラクターに派手な個性付けがないので、女性キャラは媚びや萌えのない可愛らしさ、男性キャラはドラマ性が際立ちました。
{netabare}
基本的に30分の放送時間に2本立ての構成で、一つのエピソードに一つの料理と、その料理を愛するお客のドラマが描かれます。
本作の良い所は、お客のドラマを見せてくれること、でも料理がそれに深く関わるわけではなく美味しく食べることに重きを置いていること。
ねこやの美味しい料理に対してのお客のカルチャーショックみたいなものもあるんですが、店主がお客の味覚をより深く知るために異世界の食材を調達する一幕や、それぞれの種族の味覚や好みに合う料理を選ぶ場面が入るのが良かったと思います。
それぞれの常連客にお気に入りの料理があって、それが時にその客の呼び名にさえなってしまうくらい「いつもの」という言葉が飛び交う上に、キャラクターの再登場率の高さや料理談義によって思った以上に料理の印象が強く残りました。
しかも異世界の住人は味覚が鋭いらしく、懇切丁寧に料理のおいしさを脳内で解説してくれるのでどの料理も食べたくなるw
ドワーフの職人気質を感じる会話、日常的に食べていたジャガイモのおいしさの発見、エルフ二人の探求心を感じる独白、妖精のためにお客が料理を選んであげたり、亡くなった仲間の思い出話をするなど、お客の会話も良かった。
異世界の食堂という本来の立場や種族を忘れられる場所で、食事するという無防備な状況で見せる素顔や本心が身近に感じられるのも楽しい所でした。
ねこやが異世界に繋がる謎が少しだけ明かされる心憎い最終話も良かったと思います。ねこやの先代店主やその奥さんのエピソードをちょっとだけ見たかったかも。やりすぎると雰囲気が壊れてしまうかもしれないので、本当に少しでいいんですけどね。
{/netabare}
好きなジャンルとは言えないもののそれほど気にせず見られましたし、二周目を視聴したくなる楽しさがありました。
大きなスト-リーがあるわけではありませんが、ゆっくり楽しむのに良い作品ではないでしょうか。
〈2017.10.12〉