春原最高! さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
じわじわくる
昨日三周目を見終わったところです。
一周目の時も感想書いたんですが、それから二周、三周とするごとにいろんな発見があって自分の中の評価がじわじわと上がってきたので書き直しに来ました。
二周目で気づいたことは、とにかく伏線が多いこと。一周目に見たときは哲学的でなんでもない(正直尺の無駄とも思えた)会話が、二周目に見ると、「ああ、このときはあのことが言いたかったんだな」ってスッキリ理解できることが沢山あって、返ってこの作品の中の台詞って全く無駄がなくスマートで奥深いなと感じました。ですので、この作品はむしろ二周目の方が楽しめるって方も多いと思います。そういう作りになってる作品なんだなって感じました。
一週目に見たときは、「この作品のキャラは無駄にポエマーだなw」と思っていたんですが、少なくとも無駄ではなかったです。ポエマーであることはそうなんですが、その言葉全てに重みを感じられるので、むしろこれでこそのサクラダリセットだと思うようになりました。
そして、一週目ではストーリーを追うのが精一杯で気づがなかったのですが、春埼美空の成長が全話を通じてかなり細かく描かれているなと感じました。
初めは本当にアンドロイドのようだったけれど、ケイと出会ってから感情を持ち始めて、恋を通じて最終話では本当に人間らしい姿を見せてくれた。春埼の成長譚というのもこの作品の見方の一つとして十分楽しめました。
自分がこの作品が好きな大きな理由は、両者の正義というか、自分の信念を貫こうとぶつかり合う熱い展開と、ある一つの計画によって動いてるという物語の連続性、そして心から願うと能力が手に入り、みんなの能力を合わせればどんな不幸も取り除ける(予定)という優しい世界観です。
特に最後の「優しい世界観」というのが自分は大好きで、CLANNADやAngel Beats!などkeyに共通するものを感じます。
キャラクターも、前に書いた通り初めはポエマーとかスカしたやつばっかだな、と思っていましたが何度か見ていると皆の言葉に重みを感じられて、しっかりと個々のキャラクター性が描かれていて、返って全員が好きになりました。敵キャラですら好感を持てるアニメは間違いなく良作だと思っています。
曲は、OPが二つともすごくいい。OP1は相麻菫の心情を歌ったもので、全話見た後だととても心に刺さります。OP2は本作とはそこまで関係のない歌詞のように感じましたが、いい歌であることに間違いはないです。最近毎日聴いています。EDの二曲は個人的には好きではなかったんですが、どちらも人気なようです。特にED1は、初めは納豆などとネットリした歌い方をネタにされていましたが、ED2になると、なんだかんだで前の曲が好きだったことに気づかれる方も多くいたみたいですw
BGMの良し悪しは自分には全くわからないのですが、特に違和感もなかったし悪くはなかったでしょう。
個人的にはOPの二曲だけでも曲面に関しては大満足です。
声優もすごく良かったです。みなさんキャラにとてもあっていて、特に悠木碧さんの時々寂しさを含むような声と花澤香菜さんのだんだんと感情を出していく演技が良かったように感じました。
とまあ、ここまでどれを取っても褒め称えてばかりきましたが、やはりこの作品にも自分なりに改善点があるように思います。
(一般ウケしないのはここでは問題とはしません。何故ならこの作品は初めから一般ウケを目指して作られてはいないように思うからです。ついてこれる奴だけついてこい、という制作意図は、そのおかげでこんなに詰め込まれた作品に仕上がった訳で個人的にはむしろ大成功だったように思います。)
それは、能力についての説明の少なさ、及び矛盾点(?)です。
まず、説明の少なさというのは、一番は宇川沙々音の能力についてです。柵を作ったり雲をちぎったり月に穴を開けたり出来る、世界を作り変える能力だ、一分でどんな工事も思いのまま、くらいしか作中では明言されていません。しかも、発動に一分かかるということが発覚したのは物語終盤で、見ていればわかると思うのですが、「それもっと早く言えよ」って感じる状況なんです。
また、調べたところによると、一分間「能力を使った後の世界」を想像することで発動できる、物質変化の能力なのだとか。いつも指輪をはめて能力を使うのは、意識を集中させるためだったようです。
このあたりは説明が欲しかったところです。
他にも、原作にあるらしいのですが、AとかBとかの能力のランクの説明もして欲しかったです。アニメでは智樹の能力がAランクだとサラッと流されてしまったくらいだったのが返って気になってしまいます。
まあ、こういう細かな説明は尺の関係上省かざるを得なかったのでしょう。
また、能力の矛盾点(?)について。これは村瀬陽香の「全身、能力」を使っている最中に春埼のリセットが使われた場合、村瀬はリセットの効果を受けないから、リセットする前の記憶を持ったままリセットされる前にいた場所にいる、ということを一つ例にしてみます。リセットは宇宙全域に及ぶものであると思うので(時間の概念も再配置によってリセットされることから、少なくとも太陽系には効果がある)当然地球の公転運動もリセットされますよね。ここで村瀬はリセットされる前にいた場所にとどまるので、村瀬は地球の公転運動がリセットされた分だけ地球から遠ざかる訳で、結果的に宇宙に放り出されるはずなのです。
まあ、浦地の言葉を借りれば、「こんなことは問題の本質から目をそらしている、前提を理解していない愚かな答え」かもしれません。たしかに村瀬陽香の能力は春埼のリセットを受けない、という前提なのだと思います。これはあくまで物語で、その上現実ではありえない事象なのだから、そういうものだと素直に受け止めておくのが正しいのでしょう。
ただ、この例に見られるように、理論的に見るとこの作品の能力はやや曖昧なもので、これは改善すべき点なのかと聞かれればそういう訳でもないのですが、ストーリーが緻密であるだけに少しギャップがあるというか、気になってしまうところです。
思ったよりずいぶん長くなってしまいましたが、三周見た感想はこんなところです。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
自分ではこの作品をほぼ理解できたと思っていますが、隠れたところ(何気ない会話や表情など)に伏線があるのがこのサクラダリセット。
ストーリーの流れもとても好みですので、今後何度でも見れそうです。
控えめに言って神アニメです!