Maskwell さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 2.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
味わい深さを噛みしめる作品
役回りに合った完璧な台詞。
その裏に隠された各キャラの思いが本当に胸に突き刺さる。
台詞の端々の意味を拾いたくて一瞬も目が離せない。
見終わった後はじんわりとした痛みと寂しさが残る。
あぁ、でもこれが彼の青春の形なんだなとすこし安心する。
そんな作品。
対象年齢は少し高め。
中学ぐらいでこれを見ると主人公に触発されて間違った人格になりそう。
まぁ、それだけ魅力的な作品ともいえるのか。
主人公比企谷 八幡(ひきがや はちまん)は友達を作ろうとも思わず、いつも一人でいるひねくれた高校生である。それを見かねた教師によって「奉仕部」という部活に入れられてからの少しずついろいろなものが変化していく。
Wiki参照
主人公のひねくれ具合は見ていて微笑ましい。
「おいおい、あんま気安くすんなよ友達なのかと思っちゃうだろ」とか本気で思うあたりどういう神経してるんだろうと感心さえする。
それでいて尊敬できる頭の良さと信念を持っている。
しかし、そのひねくれ具合を見かねた他人の平塚女史により奉仕部へ入部をさせられる。
奉仕部にもとから所属していた雪ノ下 雪乃(ゆきのした ゆきの)は主人公と同様に友人がいない。しかし、その理由はまったく別のところに起因する。
奉仕部は生徒の悩みを解決する手助けを行う言わば相談所的な部活動。
雪ノ下曰く「餓えた人に魚を与えるのではなく、捕り方を教えて自立を促す」部活。
奉仕部最初の依頼人の由比ヶ浜 結衣(ゆいがはま ゆい)が入部し、学生たちの些細な悩みを解決していく。
比企谷 八幡という主人公はひねくれている。しかし頭は良い。そして何より自分を卑下し大事にしない。
そんな彼が、彼だからこそできる自己犠牲の上に問題を解決する様は他の作品では決して得ることのできない貴重なものだと感じる。
----以下ネタバレ有り
・OP
おそらくヒロイン雪ノ下視点の歌詞。やなぎなぎの美麗な声とキャッチーな歌いだしで一気にこの世界へと誘ってくれる。
「気づけば 俯瞰で眺めてる箱 同じ目線は無く」
大人びてそれでいて真っ直ぐな雪ノ下が、ずるくて表面的で残酷な学生生活をいつの間にか諦めてしまっている。そんなすこし寂しい出だし。
しかし、一気に春を思わせるメロディに変わる。
「幸せだけ描いたお伽話なんてない わかってる わかってる それでもね そこへ行きたいの」
雪ノ下自身は純真な気持ちでどこか願っている。綺麗な世界、理想的な優しい世界があることを。
・個人的に記憶に残るシーン
第1話 こうして彼らのまちがった青春が始まる。
「最低限の努力もしない人間には才能がある人を羨む資格はないわ。
成功できない人間は成功者の積み上げた努力を想像できないから成功できないのよ。」
雪ノ下の言葉。
第5話 またしても、彼は元来た道へ引き返す。
八幡という人物がどれだけ他人とコミュニケーションをとることに慣れていないか、いや、上っ面のコミュニケーションに怯えているのかがわかる話。
優しい由比ヶ浜を拒絶するシーンはとても記憶に残った。
第7話 ともあれ、夏休みなのに休めないのは何かおかしい。
始まりの平塚女史のヤンデレメールのシーンは良く考えれていて面白い。
「おい!俺めちゃくちゃ大人っぽいだろうが!
愚痴をこぼしたり、汚い嘘ついたり、卑怯なことをしたり。」
八幡が持っている大人のイメージに笑った。
第12話 こうして、彼と彼女と彼女の青春はまちがい続ける。
自己犠牲の果てに八幡はまた問題を解決する。
「ほら簡単だろ?誰も傷つかない世界の完成だ」
しかし、もちろんそのなかに八幡は含まれていない。
とても悲しいシーン。
「比企谷。誰かを助けることは、君自身が傷ついていい理由にはならないよ」
平塚女史が見せる優しさ。
ちょっと涙しそうになった。