Dkn さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
かつて「にんげん」がいたこの場所で 僕たちは戦ってる
無機物でありながら生きている「宝石」たち。
フルCGでトゥーンレンダリングを使用し、コロコロ変わる表情や、クルクル回る画面が魅力の本作。
TV放送のアニメーションと思えないほどのスケール感。
巨大な建造物や、宝石たちを月に持ち帰ろうとする、月の住人“月人”の、
思わず見上げてしまいそうな茫漠さには、ただただ圧倒されるばかり。
市川春子の描く原作では、割れた腕や足からのぞく、光に反射し輝く宝石としての面や、
性的特徴のない、上は男の子、下は女の子というデザインから見出だせるエロティックさを映像的に描写している。
セクシャリティの曖昧さからくる性的な魅力というのは目から鱗。
その原作を映像化することには、全く想像がつかなかったわけではなかった。
しかし、まさかここまでの規模で、鮮烈さで、制作されるとは夢にも思わなかったのが本心。
こんなに映像向きであることや、コンセプトアートから見て取れるアニメ制作側の空気の掴み方。
劇伴や主題歌の気持ちよさや、嫌味のない、役者の起用やディレクション。
すべてがお手本のようなマッチの仕方で、諸手を上げて降参したい。
『エヴァンゲリヲン新劇場版:破』『残響のテロル』などを手がけた、
アニメ制作会社“オレンジ”が初の単独元請けで担当。
一話ずつ感想を言いたいところだが、書き連ねるのが勿体無い。
合う合わないは置いて、一度は観て欲しい、2017年秋アニメ珠玉の一作。