ようす さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
この世界には秘密がある。私は真実を知りたいだけ――。
貴志祐介による小説を原作としたアニメ。
原作未読のため、初めは世界観も用語もさっぱりで、
見るのが辛かったです^^;
が、その我慢を差し引いてもこの作品は面白かった。
きっと原作未読の人は
このアニメを観た後に原作に飛び込みたくなったでしょうね。
私も飛び込みたい気持ちでいっぱいです。笑
全25話です。
● ストーリー
人間が呪力(じゅりょく)という超能力を使える世界。
渡辺早季(わたなべ さき)、朝比奈覚(あさひな さとる)、
秋月真理亜(あきづき まりあ)、伊東守(いとう まもる)、
青沼瞬(あおぬま しゅん)、天野麗子(あまの れいこ)。
この6人は小学校「和貴園(わきえん)」を卒業し、
呪力の訓練を行う「全人学級(ぜんじんがっきゅう)」に入学した一班のメンバー。
麗子を除いた5人は、夏のキャンプで
「ミノシロモドキ」と呼ばれる過去の図書館のアーカイブと遭遇する。
そして、今から1000年前の文明が滅んだ理由や、
現在の社会のしくみに関係する秘密を知ってしまう。
ここから早季たちの過酷な運命が幕を開ける…。
物語は、
12歳編・14歳編・26歳編の3部から構成されています。
【 第1部:12歳編(7話まで) 】
希望の光が全く見えない、
展開が予想できない、
話の意味がわからない、の三拍子はきつかったですw
しかし、この後の第2部・第3部がどんどん面白くなるので、
第1部は序章だと思って我慢してください。
【 第2部:14歳編(7話~16話) 】
世界の秘密はほとんどここで明らかになります。
だから目が離せない。
仲が良く、平和だった5人の時間は
いつからか壊れ初めていたのだと気づかされるのもここ。
さらに、性に目覚め始め、
男女のいちゃこら…ではなく、同性のいちゃこらが始まるのもここww
そういう社会なので。
しかも社会的抑止力なしなので、
校内のあちこちで同性カップルがいちゃいちゃ。
改めて教育の力ってすごいなと思いました。
私達にとって「何が普通」なのかは、
結局社会や教育によって決められているものでしかない。
早季たちは呪力に対する社会のしくみに
「そんなのおかしい。」と反発しながらも、
こういうことには何の疑問も抱いていない。だってそれが普通だから。
私達の世界にも、普通に受け入れているけれど、
違う角度から見るとおかしなこと、たくさんあるのだろうな…。
【 第3部:26歳編(17~25話) 】
この作品のクライマックス。
面白さも山場!
物語のカギを握るのは、
ネズミのような外見をしたバケネズミという哺乳類。
人間のように知性や言葉、社会を持ち、
人間を神として崇め、服従している生き物です。
第1部でも第2部でも、
早季たちは必ずバケネズミの力を借りていました。
なので、影の主要キャラとも言えるのが、
このバケネズミたち。
彼らの生態とこれまでの物語で明らかになった人間の生態の、
総まとめのようなぶつかり合い。
絶望的な展開続きだし、もはやホラーだし、
怖くて仕方ないですが、
面白さのほうが大きく上回っているので、
ホラーが苦手な私でも観るのは苦痛になりませんでした。
毎話、30分という時間があっという間でした。
【 まとめ 】
3部まで観て、
「これはすごい作品だ。」と感服でした。
本当は★5つけたかったのだけど、
補足がないとよくわからない部分も多かったので、
★4.5に留めました。
【 最後まで観た後に開く、第2の物語 】
アニメのキャッチコピーは「偽りの神に抗え」。
この言葉の本当の意味が、
最終話まで観てようやくわかりました。
{netabare}
このキャッチコピーは、
バケネズミの立場に立ったものだったのですね。
早季たち目線で物語を観ると、
ある程度すっきりとした、ハッピーエンドのようでした。
しかし、スクィーラ目線で物語をたどると…。
この物語の真の主人公が
バケネズミだった、とすると…。
そんな、また違った物語を想像することができます。
{/netabare}
物語の中で何度か争いが起こりますが、
勝者には明るい未来が顔を出し、
敗者にはそれまでの人生が無になるばかりではなく、
暗闇と死しか残っていない未来が待っている。
正義を語るのは、勝者にしか許されないことだから。
● 音楽
【 前半ED「割れたリンゴ」/ 渡辺早季(種田梨沙) 】
【 後半ED「雪に咲く花」/ 秋月真理亜(花澤香菜) 】
どちらもいい感じです。
私は後半のマリアEDの方が好きかなあ。
物語とリンクして、
とっても切ない気持ちになります。
OPはありませんが、代わりに
ナレーションと共に「陰の伝承歌」というBGMが流れることが多いです。
これが作品の雰囲気に合いすぎている名曲です…!
● まとめ
すごい作品だった。これはすごい。
「想像力こそが、すべてを変える。」
自分が生きている世界。
それを無意識のうちに信じている私達。
見方を変えれば、世界は変わる。
想像すれば、世界は変えられる。
早季たちは1000年後の未来に生きていた。
さらに1000年後の世界は、
変われているのだろうか。
私達が暮らす今の時代、
そこから1000年後の子どもたちが幸せであることを願ってやみません。