yuugetu さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
気になる所はあるものの、気楽に見られる面白さ
2017年夏アニメ。全13話。もとはなろう小説のライトノベル原作。原作未読です。
OP途中から効果音が追加されていくのがなんだか笑ってしまったw
作画、演出、声優さんの演技など全体的にクオリティが高く、気楽に見る分には良いと思います。
駆け足すぎるきらいはありますが、横手美智子さんの安定した脚本は良いですね。
音楽も重厚感があって良かったです。
本作には特別目新しい要素があるわけではないのですが、キャラクター、メカ、世界観、ストーリーのバランスが秀逸だったと思います。キャラクターとストーリーがわかりやすいことがこの作品では良い方向に働き、メカや世界観をしっかり作り込んでいるのと合わせてちょっと面白い作風になっている感じ。
主人公のエルネスティの描写が重度のメカオタクで徹底していて、小気味よくもあり、若干の違和感を覚える時もありました。
{netabare}
一番の売りであるロボットの描写は素晴らしく、デザイン・モデリング・動きだけでなく重量感やダメージ表現も最高でした。さらっと流してしまうこともあったものの、開発や説明のシーンも悪くなかったです。エル君の「お手元の資料をご覧下さい」がいちいち面白かったw
ナイトスミスであるバトソンや親方の出番が多かったのも本作の良い所。
バトルシーンで一番好きなのはアンブロシウスとエムリスの一騎打ちですね。格好良かったです。
背景美術もかなりの見所で、国ごとに特徴を付けた服飾や、メカ、モンスター、舞台となる街のデザインも素晴らしいですね。中世モデルのファンタジーな世界観が思った以上に作りこまれていました。
キャラクター重視のラノベ原作アニメが多い中で、ロボットの描写と世界観に重きを置いた実はちょっと独特なアニメという印象です。
ストーリーのダイジェスト感が凄いのは勿体なかったです。異世界転生の唐突感もちょっと気になる。
劇中ではだいぶ時間が過ぎていて、第一話の幼少時はエル5歳、その後入学してから中等部卒業、さらに1,2年くらいかな?おそらく10年以上を1クールに収めたのだからそりゃあ駆け足になりますよねw
エルがナイトランナーとして優れている理由が幼少期からの鍛錬の積み重ねであるのは良いですし、一応は戦争や技術開発など描く以上はこのくらいの期間は必要だったと思います。
キャラクターは基本的にはラノベ的な個性付けがされていますが、アクは強くないので見やすいです。エルの情熱に振り回されるか、メカオタクとして同調するかのどちらか。エル自身が嫌味のない性格なので人間関係も安定していてストレスがありません。
アディがエルを全面的に応援する安定のヒロインで、最終回の「少しは周りのことも見てよね」の一言が全てを表していますねw
個人的には男気を見せたディートリヒが好き。
本作の一つの欠点と言えそうなのが、エル君のロボットに対する狂気じみた貪欲さと純粋さです。もちろんこれは、物語を軽妙に魅せる最大の長所でもあります。
ですが後半で戦争によって死人が大量に出ているので、エルのブレなさを爽快と見るか悪魔と見るかは人によるかも。
エル君がシルエットナイト制作と戦争(シルエットナイトの性能の実用)やっているのはオリジナルメカでビルドファイターズをやっているようで、騎士団の他の面々はヒーローものをやっていて、クシェペルカ王国やジャロウデク王国は戦争ものをやっている、というちぐはぐ感が個人的にはちょっと気になるかも。
前半はモンスター相手に自国の領土を守る戦いが多くエルの描写がそのままでも違和感はないので、個人的にはその流れのままの方が好きだったかな、とは思います。
{/netabare}
(2017.10.5)
【追記】
実際のところ、欠点と言うほど自分でも気にしていない感もあるので理由を考えてみました。
{netabare}
単純にエル君が結構好きだから、なんだろうなあ。
シルエットナイトのためなら努力を惜しまない、仲間の命が助かるならシルエットナイトが壊れても構わない、無茶をしても叱ったり支えてくれる仲間がいる。年長者が見守り導いてくれ、エルネスティ自身も年長者に敬意を持っている。…要するにエルは最強系主人公でありながら、客観的に見ると完璧すぎないような描写がされている。
さらには意図しているのかいないのか、エルの容姿は成長しても子どもっぽいまま。人外のようにも、純粋なだけにも見えるんですよね。容姿や精神面が順調に成長していたら嫌味が先に立ってしまったと思います。
エル君のキャラ付けが尖っている分、色んな要素を工夫することで上手に描写していたなと思います。 {/netabare}
(2017.10.9)