あんにゅい さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルなし
「月がきれい」ご覧になりましたか。悶絶しましたね。
純愛というものがかくも人心をえぐってくるのかと感慨深かったですね。
この作品は、中学生がはじめて異性と付き合うという現象を丹念に表現することに徹しています。素敵ですね。
ふたりの視線が初めて交差する瞬間から、ふたりの想いがすれ違ってまたよりもどるまで、一瞬たりともたるむことなく二人の心情に肉迫し続けます。
ふたりの恋愛模様を追っていくのですが、とにかくむず痒く甘酸っぱい気持ちでいっぱいになりますね。共感できるような、見てるだけで少し恥ずかしくなるような要素・描写がたくさん詰まっておりますので、最終的にわたしは悶絶するしかありませんでした。
さて、そうした悶絶に駆り立てる要素は何だろうか、とおもって調べたりしていました。*1
まず、常に眺めていることになる画面ですが、白が強調されていますね。全体的な色調もそうですし、人物の輪郭は清潔なオーラのように白で縁どられています。このことは直接心に訴えかけるものではないかもしれませんが、清廉潔白な雰囲気を形作るのに貢献していると思います。
主に影響が大きいのは演出ですが、この作品では音声の果たす影響が特に大きいと感じます。この作品はアフレコではなくプレスコで音声が収録されており、起用している声優さんもなるべく登場人物たちに近しい年代の方を起用しています。可能な限り生の中学生に近い状況で音声がとられているのですね。アドリブも多いとか。
また、キャラクターデザインもデフォルメが控え目で生々しさがありますね。
見逃せない点としては男女双方の視点から心情を描いていることです。脚本家に女性を迎えることで、男性だけでは決して知りえない女性側の視点と内面が描かれています。女性側の視点が加わることでリアリティが増し、双方向の感情移入が可能になっています。
以上のような事柄がすべてではありませんが、「月がきれい」は悶絶してしまうほど登場人物たちのリアリティの造形・描写に力が入っている作品なのだと思います。
これから見られる方は、主人公の安曇君と茜ちゃんの二人の恋愛にきっと共感して悶えながら全力でその純愛を応援したくなると思います。
おわりです。
*1主に、webサイト「アキバ総研」岸誠二監督インタビューです。