takumi@ さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
輪りすぎだよピングドラム
やくしまるえつこさんの歌うOPにまず惹き込まれ、
「生存戦略~~!」
「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」など
頭にも耳にもしつこく残るこのセリフとシーンに
「誤魔化されるなよ~自分」ってやや構えながらツッコミを入れ、
陽毬ちゃんのかわいさに癒されつつ、「ピングドラム」とは何ぞや?
この話、いったいどっちの方向行くんだろう?と興味が湧き、
結局は最後まで見届けないと気が済まなくなっていた。
生存戦略~!に登場する巨大な熊のカプセルが「テディドラム」なら
「ピングドラム」はペンギンなんだろうなとか、
冠葉たち3人それぞれの内面を表す3匹のペンギンに
何かヒントがあるんんじゃないかと、実はけっこう注目してたりと、
途中からあれこれ推理しながら考え込んだりもしたけれど、
最終回まで観終えてみれば、そういう推理の時間を楽しむアニメだったなと。
ただ、それにしては見応えのある最終回だったかというと、
正直・・・疑問がかなり残っている。
シンプルに「愛のお話」・・・それでいいのだとしたら、
両親が犯した罪をなぜあんなにしてまで子どもが背負うのだろう?
社会的制裁を受けなければいけないのは、罪を犯した本人であり
その子ども達は決して無関係ではないものの、
あんなふうに背負うべきものではないはず。。
両親を支持していた組織の人間達については、詳しく描かれることなく、
子ども達だけでどんどん堕ちていくのが悲劇としか言いようがなく、
未熟さゆえにあんなふうに考えてしまうなら仕方ないにしても、
もし本当の愛があるなら、それぞれが それぞれに、
そして何より自分自身を ゆるし合わなければ報われない。
{netabare}
それだけに、散っていった命がとてもせつなすぎて観ていて辛かったし、
子ども達同士の深い愛だけはしっかり伝わってきたものの、
彼らの親のほとんどが、ひどい親のままで描かれ、
最後まで親の愛を感じられなかったことが、悲しかった。
{/netabare}
何が「運命」???
運命って言葉で片付けたくないさまざまなこと。
運命と愛は似ていて、だけど愛は各自の意思があって成り立つもの。
「運命の果実を一緒に食べよう」=「愛の果実を一緒に食べよう」
ではないと思うし、運命は分かち合えるものじゃないけれど、
愛なら分かち合える、だから愛で運命を変えようじゃないか・・と、
個人的にはそちらに進んで欲しかった。
しかしながら、幾原ワールドはやっぱりすごいと思ったのも正直な気持ちで。
印象的な音楽の使い方、記憶に残るセリフの数々、
伏線を至るところに散りばめた映像と、ピクトグラムや改札、
駅の電光案内版、それから地下鉄内部などなど、
斬新な演出は面白かったです。
社会的なメッセージも、個人的に100%の共感はできなかったものの、
視聴者に考えてもらういい機会にはなったんじゃないかと思うし、
それはとても意味のあったことなのではないだろうか。
最後に、EDや挿入歌のARBの数曲をカバーした
トリプルHの歌声も、とても好きだった。
元の曲だと男くさいのにね・・・^^;