STONE さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
作るところから始めよう
原作は未読。
異世界転送とロボットという組み合わせ自体は「聖戦士ダンバイン」、
「天空のエスカフローネ」など昔からあるが、本作の空気感はやはり最近流行りの異世界転送ものの
それに近い印象。
最近の異世界転送ものは自己投影することで視聴者や読者のカタルシスを得ることを重視した
ような作品が多い感があるが、本作に関してはロボットオタクの願望を叶えることを重視している
ような印象が強かった。
そう感じた理由の一つが、大半のロボットものの主人公がロボットに搭乗して戦うことに終始して
いるのに対して、本作はロボット(シルエットナイト)に搭乗するだけでなく、それを作ることにも
重きを置いていた点。
個人的にはそれほどロボットに思い入れはないんだけど、それでもロボット好きなら主人公の
エルネスティ・エチェバルリア(以後、エルと表記)のような境遇は羨ましいだろうなと思って
しまう。
この作るという部分だが、エルが転生前の特技?を活かしてシルエットナイト開発に技術革新を
起こすという設定は割と面白かったが、全体の構成的にバトル重視だったのか、開発自体は
ナレーションで済ませてしまうことが多かったのが残念。
個人的には開発におけるトライ&エラーを描いたような「プロジェクトX」的側面をもっと
見たかったかな。まあ、絵的には映えないかもしれないけど。
他にも歴史、及び戦史的な大局的な部分も止め絵とナレーションで済ましてしまうことが多く、
全体的なはしょられ感が強く感じられた。まるで長尺作品の総集編を見せられているような感じ。
キャラに関してはやはりエルが印象的で、行ったこと自体は結果的に善悪ものの主人公らしく
なっていたが、その根底にあるものは良く悪くもロボット愛に根ざしたもので、はっきり言えば
マッドサイエンティストのそれと変わらないのがおかしい。そういう意味では後半にライバル役で
登場したオラシオ・コジャーソとは表裏一体といった印象。
こんなエルだから、本来主人公がやるようなロマンス的部分はアーキッド・オルターが
やっていたし、ストーリーを通じて成長していく役割はディートリヒ・クーニッツがやっていた
感じ。
まあロマンス部分に関してはアデルトルート・オルターがエルにぞっこんみたいなので、先々に
何かありそうだけど。
演出的には既存のロボットアニメ作品から引用したシーンやセリフなどが多く、この辺は
パロディと言うよりはオマージュといった印象。同時期に放映されていた
「アクションヒロイン チアフルーツ」の特撮ヒーローに対するそれと同種のジャンル愛のような
ものを感じる。
2019/08/16