STONE さんの感想・評価
3.8
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
亜人が文明社会を築いたら?
原作は未読。
「モンスター娘のいる日常」、「亜人ちゃんは語りたい」と同じく、デミヒューマンものだが、
いわゆる現実にいる人間が存在しないというSF色の強い作品で、この人間のいない世界の
作り込みがおそろしく凝っている。おそらく映像化されたものは作者の構想のほんの一部に
過ぎないのでは?
内容はかなり多岐にわたっている感があるが、この世界そのものをうまいこと構築できたゆえに
様々な要素を同居させても違和感がないような気がする。
本作で描かれるデミヒューマンの世界だが、各種族の形状の違いから来る差別やそれを
乗り越えての過剰なまでのポリティカル・コレクトネスなどは現代社会に対する風刺に
なっているよう。
作中で「形状の差が無ければ、差別などないだろう」といった内容のセリフがあるが、同じ形状の
人間のみで社会が構成される現実を見るにかなり痛烈な皮肉。
のんびりした非現実世界の描写の中に、毒性のある現代社会に対する風刺や皮肉が
込められている点などは「人類は衰退しました」に連なる系統のような。
前述のように内容は幅広く、緩い日常系、ハートフルなほのぼの、エロい展開、社会派とも
言うべきメッセージ性、シュールギャグなどなど、回ごとにまったく違った顔を見せ、なんとも
不思議な味わいがある。
基本コメディの範疇の作品なのだろうが殊更笑いどころを作ることも少なく、淡々と日常を
描いたシリアステイストなものが多い。そのために各話の終わりも突き放して終わるようなものも
多く、独特の余韻を感じる。
ラストエピソードは全然ラストらしくない、女子による腕相撲トーナメントで、主役である
君原 姫乃の最後の「なんで腕相撲なの?」はまんま視聴者のツッコミそのまんまという感じ。
キャラの印象度では、このデミヒューマンだけの世界でも更に異彩を放つ南極人の
ケツァルコアトル・サスサススールと、癒し枠とも言うべき御魂家の子供達が特に印象深い。
2020/04/08