雀犬 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ハートフル・ボッコ・ファンタジー
WEB連載中のマンガ原作の冒険ファンタジー。
かわいいキャラの見た目とは裏腹に、かなり過酷な内容となっているので要注意。
あにこれで前評判が高かったので見てみました。
初回を見てまず思ったことは、
「なんでこんなに作画頑張ってるんですか!?」
竹書房といえば麻雀マンガとグラビア。
でも雑誌の近代麻雀はあまりコンビニで見かけなくなったし
近いうちに潰れてしまうんじゃないかと思っていました。
失礼ながらコミックガンマなんてWEBコミックサイトは存在すら知りませんでした。
このアニメの良いところ、それは制作者の本気を感じる所です。
人気が出たからとりあえずアニメ化しようという感じではなく、
このコンテンツで勝負するんだという熱意がヒシヒシと伝わってくる。
それは大変に素晴らしいことです。
作り手のやる気を一番に実感できるのがやはり作画。
背景は緻密、アクションはぬるぬると動く、仕上げも丁寧。
クオリティーは初回から最後まできっちり維持される。
そして縦にも横にも奥行きを感じられるカットが多く開放的な世界になっていて、
地下冒険の物語というと暗い洞窟に明かりを灯して進む、
窮屈な雰囲気になると思ったらいい意味で予想を裏切ってくれます。
労力に見合うだけの価値、アニメ化のメリットを感じられる作画だと思います。
また、アビスの動植物や地形は「どっかで見たことある」ようなものは少なく、
どれも作者の豊かな想像力を感じられ、好奇心を刺激してくれます。
特にアビスの現生生物はグロかわいくて良い。
きちんとセンス・オブ・ワンダーを感じさせてくれる。見ているだけで楽しい。
ストーリーも良いですね。毎回続きが気になるのは良作の証。
アニメオリジナルの展開も多かったらしいのですが、
原作者がアイデアはあったものの漫画にできなかった話をアニメ化で実現しているようで、
本編とシームレスにつながっていて尺合わせをした感じは全くなく
より物語の完成度を高めていたように思います。
ライザとレグを繋ぐものは何なのか、謎のまま終わってしまいましたが
必ず二期を作ってくれると思うので良しとしましょう。
キャラクターが若干弱いかなと思っていたのだけど、
ナナチが入ったことでぐっと良くなりました。
エンディングで3人仲良く手を繋いでいるもんだから、
「このモフモフはいつ出てくるんだよ。早く!早く!」と待ちわびていたんだけど、
かなり緊迫した場面で登場するもんだから意表を突かれました。
原作組の話では、このキャラが連載打ち切りのピンチから救ってくれたらしい。
なるほど、ナナチは作中でも現実でも救世主だったんですね。
白笛達の人外っぷりも厨二心をくすぐられて大変よろしい。
ただリコの身体能力の弱さが相変わらずネックになっている。
これから最深部へ向けてさらに過酷な旅になるはずなので
そこをどう展開していくのかが見物でしょう。
さて。この作品の問題点は2つ。
ひとつめ。グロい。
深夜アニメでなければ放送できないようなシーンがちらほら。苦手な人は苦手でしょう。
ただ嗜虐的な感情を煽るだけではなく、命の重みや自然への畏敬の念を感じさせるものなので
僕は誤魔化さず描き切ったことを評価したいです。
特に最終話は大変悲しいエピソードなのですが、
深い喪失感が胸に迫ってくるのはグロ描画があってこそだと思います。
ふたつめ。グロとは別に、『度し難い性癖』が見え隠れすること。
{netabare}少女の裸、吐瀉物、オシッコ…etc{/netabare}
度し難い、、度し難いぞ!つくし卿!
残念ながら僕の苦手な表現がけっこうあったので、評価点がその分低くなっております。
好きな人だけ見ればよい作品。万人向けではありません。
それでも制作者の本気が伝わってくる良い作品だったと思います。
後は二期を作ってくれれば言うことなしです。