岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ただのCGアニメではない
2013年の放送時に数話視聴していたが、当時は3Dアニメへの抵抗感があり途中で断念した作品。しかし最近はフルCGの作品も増えてきており、この機会にもう一度挑戦してみようと再視聴。結果としてはなぜあのとき見るのを辞めてしまったのだろうと思えるほど、楽しめる内容だった。
艦隊ものでは似た作品に「艦これ」もあるが、同じ艦隊ものでも全くアプローチの違う描き方をしているのが印象的。「艦これ」は女の子自身に武装を施して艦隊を模すスタイルで、映像的には多くのキャラクターによって海上で展開されるスピーディーな戦闘シーンが特徴かと思う。
一方本作「アルペジオ」では女の子が登場する点は共通するが、あくまでメンタルモデルという設定で、戦うのは実際の艦隊そのもの。その分戦闘シーンもスケール感や重量感があり、迫力のある映像が楽しめる。
また両作品の共通点として謎の敵と戦い、その過程で自分たちが何者なのかを模索するという展開がある。本作の場合ヒロインのイオナをはじめ、各メンタルモデルが人間やデザインチャイルドとの出会いを経て、人間の自我のようなものに目覚め成長していく。タカオは群像への恋愛感情、ハルナ・キリシマは蒔絵との邂逅。コンゴウは自身に生まれる感情への戸惑いや、マヤを失った悲しみ。イオナの姉妹艦との戦いも切ないエピソードだった。
本作では主人公たちの目的やそのために必要な道程が明確、加えてメンタルモデルたちの成長を戦いとともに描くという、わかりやすい構成。
また肝心の戦闘シーンは大きなビームを撃ったり、フィールドが展開したり、戦艦が合体したりと王道的な設定が多い。ただそれをCGで表現するのは挑戦的で、手描きとは違った面白さがある。ただ演出が凝りすぎて視覚情報量が多く、一部戦闘シーンにわかりにくい場面はあったかな。また劇伴も甲田さんということで盛り上がる曲調。声優さんが歌うEDもしっとりと響き渡る歌声で音楽面のクオリティーも高い。
CGアニメということでCGへの抵抗感や特有の硬さが気になる方もいると思うが、物語もしっかりしているのでドラマとしても十分楽しめる。