タック二階堂 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
2人きりの少女が終末世界を往く。
戦争で世界が終末を迎えているディストピア。
2人きりの少女、チトとユーリがケッテンクラートと
いうクルマで何かを探して旅をしている。
というお話。
登場人物は2人しかいません。今のところ。
まさに会話劇という感じです。
でも、それがなんかいい。
世界観と劇伴が非常にマッチして、えもいわれぬ
終末感を演出しており、非常に好きです。
キャラデザがちょっと日常系っぽいかなという
嫌いはありますが、こういう淡々として、
物哀しいストーリーは好きなので、初回としては
かなり高く評価します。
もちろん継続視聴です。
========第3話視聴後、追記です。
チトとユーリしか出ない作品かなと思っていましたが、
ゲストキャラとしてカナザワ(CV:石田彰)が
出てきました。ディストピアの地図を作っているとか。
なんとも言えぬ作品全体を包み込む空気感や、
削ぎ落とされた登場キャラなど、これはかなり良作の
予感がしますね。背景も「リゼロ」のWHITE FOX
なので不安なしです。今後の展開に期待です。
========第5話視聴後、追記です。
短編3本の回。
特に最後の「雨音」が秀逸でした。
雨漏りを受けるヘルメットや空き缶が奏でる
音がパーカッションになり、そのまま歌になる
特殊ED。曲はボカロPのbakarさん作。
肌が泡立つほどに素敵な回でした。
========第6話視聴後、追記です。
飛行機を作って別の町を目指すイシイの登場回です。
イシイのCVが三石琴乃さん。「キノの旅」のところ
にも書きますが、あっちはゲストに緒方恵美さん…
やっぱり、今のアニメの原点はエヴァなんですかね。
========第8話視聴後、追記です。
不思議な引き出しが並んでいる場所。
引き出しの中身は役に立たないガラクタばかり。
それは墓だと気づくチトとユーリ。
墓守は、例の変な石像だった。
という話。
このあたりから2人に人生観というか死生観について
考えることが増えてきます。
ユーリはカメラをくれたカナザワのことを忘れて
いましたが、実は二度と会えない人は、2人に
とっては死んだと同じこと。
それを忘れないために思い出の品というのが
ある。そして、それがガラクタたちであり、
お墓なのだということへと繋がります。
ぽやんとしたキャラデザで、ほのぼの日常系の
ように見えますが、実はなにげに深い話です。
========第9話視聴後、追記です。
ただ1匹残った魚の水槽を維持するために存在する
人工知能の機械と出会います。
そして、資材確保のためにスクラップを行う
大きな機械が水槽もろとも建物を破壊しに来ます。
魚と機械を守るため、2人は大きな機械を爆破
します。というお話。
生命とは何か。
スクラップ&ビルドが進化なら、単にスクラップ
するのは生命の終わりであること。
地球はひとつの大きな生命体。でも、人間もその他
の生き物も、地球も、いずれ終わる。
終わる=死
こうした死生観を理解していく話です。
========第11話視聴後、追記です。
前回拾ったぬこ(CV:花澤香菜)と一緒に旅を
続けます。ぬこは、なんと銃弾を食ったり、
燃料を飲んだりします。
けっこうしゃべれるようになりました。
ぬこが指し示すラジオの電波が来る方へ進むと、
そこには潜水艦のようなものが。
ぬこが鍵を開けて(万能!)、中に入ると
そこには原子力のマークが…
という不穏な話で最終回へと続きます。
さあ、どういう落とし前をつけるのか、楽しみです。
========最終話視聴後、感想です。
原潜のコンピュータとカメラが接続し、カメラの中に
保存されていたフォルダを見ます。
そこには、まだ人々が生きていた頃の記録が残って
いました。そして、なぜ今こんな状況になっているのか
その端緒がわかるような動画も…
翌朝、ユーがぬこの親玉みたいなのに食われます。
ぬこと一緒に後を追うチーちゃん。
そして、辿り着いた原潜の屋根で見たものは…
という、実にいい最終回でした。
すでに人類は滅んでいて、ぬこの仲間たちが知る限り、
生きているのはチトとユーリの2人だけ。
(つまりカナザワ、イシイには会ってないんだね)
ぬこたちは、人類が生み出した毒(武器など)を
取り込み、無力化する生物らしい。そして、
地球上のそういった毒を無力化したら、彼らとともに
地球も役割を終えるそうだ。
そこで、ノーマルED「終わるまで終わらないよ」へ。
チトとユーリの旅は終わるまで終わらない。
地球が終わるまで? 彼女たちの人生が終わるまで?
ポケッとしたキャラデザで、日常ディストピア物
という印象を受けがちですが、これはとても深い
面白い作品でした。今期、覇権を争う一角でしたね。