Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
P.A.WORKSの「お仕事シリーズ第3弾」は田舎の観光協会で働く女の子達の物語。
この作品は、「花咲くいろは」「SHIROBAKO」に続く女の子の働く物語…
このくだりを見たらもう視聴しない、という選択肢はありません。
条件反射のように視聴を決めた作品でした。
前2作とも「名作」と呼ぶにふさわしい作品だったので、視聴前から相当ハードルを上げていたような気がします。
この作品の主人公は東京在住で、目下就職活動中の短大生の木春由乃…
田舎町育ちの彼女は、未知なる可能性を求めて上京してきたわけですが、そんな女の子にも都会の風は厳しく連戦連敗が続いていました。
そんな折、以前登録していた派遣事務所から「地域の町おこしの一環で国王を務めて欲しい」と依頼を受け、軽い気持ちで依頼先の間野山市に向かった彼女を待っていたのは、今ではすっかり影を潜めさびれてしまったミニ独立国だったのです。
観光客でかつての賑わいを取り戻したい…地元観光協会の切実な願いから半ば強引に「チュパカブラ王国」の国王に任命された彼女は、町興しを企画していくこととなり物語が動いていきます。
突然町興しを頼まれたって、具体的に何をすれば良いのか全く分からないので困惑します。
それが自分が出たいと思っていた田舎に逆戻りしたら尚更気持ちが乗らないのも理解できます。
事実、物語の序盤は由乃のモチベーションは明らかにマイナスでした。
でも国王としての彼女の仕事をしっかりサポートしてくれる同胞がいたということ…
それに町の人々との触れ合いをきっかけに、町興しを自分の仕事として受け止めてから物語は一気に面白みを増していきます。
由乃のサポーターだけ紹介しておきます。
四ノ宮 しおり(CV:上田麗奈さん):「だんないよ」が口癖の「とりもち大臣」です。
緑川 真希(CV:安済知佳さん):「おでん探偵」を演じた元女優は「ガテン大臣」です。
織部 凛々子(CV:田中ちえ美さん):オカルト情報に詳しい「UMA大臣」です。
香月 早苗(CV:小松未可子さん):東京から移住してきたWEBデザイナーは「IT大臣」です。
こうしてみると、由乃を含めた5人中3人は元東京経験者で、その3人は自分が夢描いた生活とは全然違う現実を突きつけられた…という事になります。
確かに情報の発信源なのでそれなりの刺激はあると思います。
でも都会で生活したらその刺激が満喫できるか…というと別問題だと思いますし、生きていく上で全てに優先することでも無いと思います。
人は多いが人間関係は希薄なので、寂しさを感じる事もあると思います。
何より就職する先にもよりますが、基本仕事漬けの日々をあくせくと過ごしていくんです。
場合によっては、その刺激が「近くて遠い存在」にもなりかねませんし、転勤のある会社に勤めたら紙切れ一枚で右・左…都会に留まれる保証なんてありません。
それに、都会にしがみついて本来自分のやりたい仕事ができなければ、仕事に生き甲斐すら見いだせないかもしれません。
だから、由乃が本格的に町興しに取り組む姿勢を見せてくれたのは、個人的にとっても嬉しく思いました。
だって一人じゃない…同じ方向を向いたかけがえの無い仲間がいるじゃない…
それに一環して街の大らかさが彼女を包んでいたのも好印象でした。
町興し自体は水モノですし、100点の答えがある訳でもありません。
一生懸命知恵を振り絞っても上手くいかないことだってあります。
時には周りに迷惑をかけることだって一度や二度じゃなかったと思います。
でも、例えボロボロになって倒れたとしても、もう一度上を睨んで頑張ろうとする時、仲間や街のみんなはいつだって「頑張れっ」って背中を押してくれたじゃありませんか…
国王や大臣を包み込んでいた優しさや温かさを終始感じる事ができたのは、彼女たちが地元の事をいっぱい考えて、地元のために頑張っていてそれが伝わったから…
これこそが間野山の特権であり魅力なのではないでしょうか。
彼女たちが描く町興しとはいったいどのようなモノだったのか…
そして間野山での町興しを経て彼女たちが選択した次の一歩とは…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、「Morning Glory」と「Lupinus」
エンディングテーマは、「Freesia」と「Baby's Breath」
4曲とも(K)NoW_NAMEさんが歌っています。
(K)NoW_NAMEさんで、真っ先に頭をよぎるのはが「灰と幻想のグリムガル」の「rainy tone」
何度も聞いて何度も涙した私にとっての神曲…
(K)NoW_NAMEさんが手掛けられた楽曲…今回はエンディングにより良い印象を感じました。
2クール全25話の物語でした。
正直ラストで彼女たちの選択した次の一歩は私の想像の遥か斜め上でいたが、完走して振り返ってみると、一生懸命頑張ってきたからこそ選択できる一手だったのではないでしょうか。
P.A.WORKSの「お仕事シリーズ」…今回もしっかり堪能させて頂きました。