kukuru さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
愛するが故の物語の尊重
物語の軸となっているのが、セイバー・士郎それぞれの抱える人生とその関係性の変化にある。士郎は正義の味方になることを約束し、自己を犠牲にしてでも他人を守ろうとする姿勢を一貫させ、多くの犠牲を出しかねない聖杯戦争を終わらせようと参加を決意する。セイバーは自身が王となり、国を滅ぼしたことを後悔し、過去を改変するために聖杯を手にすることを目指す。
当初は、考え方や目的も大きく異なり、すれ違う二人であったが、戦いの中で互いに心を許し合うようになり、恋愛感情を強く抱くようになる。そんな中で士郎はセイバーに過去をそのまま引き受け、新しく現在に生きることを望むようになり、セイバーも自身の失敗も含めて、王であったことを引き受けることを決意する。そして、セイバーは自身の人生という物語をそのままに受け入れることを望み、現世に残るのではなく、失敗し過去において死にゆくことを望む。士郎はそのことを理解し、セイバーを愛するが故に、そのセイバーの物語を尊重し、現世に残すことを断念する。愛するが故に相手を失うという設定が無理なくクライマックスを飾ることができているのは、英霊の召喚という設定やキャラクターの魅力により成立しているのだろう。