プランタン さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
好奇心は猫をも殺す
好奇心と知識欲に衝き動かされ、名誉と宝を求め、探検家たちは「アビス」の底へと進む。呪いと悪意とが待ち受ける最奥へとひたすらに。ささやかな祝福を与えられた身で。
美しい背景と音楽と共に綴られる、未知なる苦難続きの旅路。
序盤はリコとレグの出会い、リコの境遇を説明する。リコはアビスに仲間と宝探しに来ていたところ、レグの火葬砲によって助けられる。リコは消耗し倒れたレグを背負い、住処へ。電気ショックで記憶を失うレグ。母の白笛が見つかる。アビスへの第一歩を踏み出す。
中盤は、縄張りを荒らそうとするよそ者を見つけ攻撃してくる動物、餌にしようとする食肉植物など、襲いかかる万難を排し、リコは地下へと潜って行く。しかし、少女が進むにはあまりにも危険な旅だ。傷付くとしても頭から血が出るだけ、「肋骨が折れた」程度の描写では済まない。リコが猛毒を受け瀕死に陥る。レグは必死に救おうとしたが甲斐無く、泣き喚くほかなくなったところに、ナナチが現れる。
終盤は「成れ果て」となったミーティの紹介に加え、ナナチのもとでリコの治療と、食料調達を含めた敵の倒し方、アビスの呪いを学ぶ。呪いを受け付けにくい場所があること、敵の性質を逆手に取ることを、ナナチは教える。敵を倒すのに使った「火葬砲」を見て、ナナチは死ねなくなったミーティを殺してくれ、と寂しそうに頼む。
(感想)
第1話のエンディングを見てから私は魅了された。音楽がとても印象深い。サントラが欲しくなるのは久々だ。
総じて、残酷ながら温かみのある物語だった。悲しくも美しい、とも。終わり方は素晴らしかった。現行作品のものをここまで綺麗な終幕に落ち着けるのは稀有なんじゃなかろうか。作者とアニメの制作スタッフに賛辞と感謝を送りたい。
(個人的な考察など)
地底の冒険というと「インディジョーンズ」が挙げられるだろうけど、真っ先に思い出したのは「スペランカー」だった。幽霊や巨大な虫などが出てきて、数多のトラップが仕掛けられていて、段差に躓いたりしてあっけなく死ぬ(残機が減る)ゲームだ。黒いキャラが妨害してきたりもする。
上昇負荷って何だろうかと考えると、深海が想起された。ミーティの変質を見て、モチーフは深海魚ではないかと思った。地上に釣り上げると目が飛び出て浮き袋が口から出るアレ。調べてみたら「ブロブフィッシュ」と形が似ていたので、元ネタはこれなのではないかと思われてきた。グロではないが検索すると「こんな生物がいるのか」と思わせるものがいるため、深海魚の検索はアニメ以上に注意が必要だ…。
過ぎた好奇心は身を滅ぼす。イギリスの諺に「好奇心は猫を殺す」とある。英訳は「Cat has nine lives.」(猫に九生あり)。ミーティはボンドルド卿に9回すり潰された。しかし、それでもなお「憧れは止められない」のだ。止まない情熱の宿るミーティの瞳は、リコの道標になった。