「君の名は。(アニメ映画)」

総合得点
91.2
感想・評価
2515
棚に入れた
11513
ランキング
39
★★★★★ 4.1 (2515)
物語
4.1
作画
4.5
声優
3.9
音楽
4.2
キャラ
4.0

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ネタバレ

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

入れ替りが唐突に始まった時、「ラブコメか!」と思わず突っ込まさせる楽しさで、これだけで傑作と言えるのに、さらに、夢と糸の繋がりが紡いで結ぶ、奇跡のような純愛ストーリーで、

これはもう、文句のつけようがない名作でしょう。

メインモチーフは、「夢」。そして「糸」。
この使い方が、見事だったんだと、思う。
{netabare}時間のズレや入れ替わりも含めて、全ては「夢」だった、
ってことにしてしまえば、
宮水神社の子に宿る、と言われる能力ってことで、三葉と瀧の入れ替わりも予知夢なんだと思うし、{/netabare}
そういう解釈がいちばんすっきりしていると思う。

そして、夢のもつ曖昧さと、夢というのは覚めてしまうと記憶に残し続けるのが難しいということが、
二人の繋がりの弱さ、危うさを上手く掬い取っている。

{netabare}時間軸のズレを端的に表現したのが、三葉が瀧に会いに東京に行くシーンで、
「瀧君、覚えてない…?」という三葉の言葉で、
瀧にとっては二人の繋がりがスタートするのだけれど、
三葉にとってはようやく繋がった現実の瀧との糸が切れてしまう切ないシーンであり、
失恋に似た感情に支配されてしまう事件でもある。
ただ、大事なのは、
この瞬間に、糸を手渡すことが出来たからこそ、
二人の時間軸は絡まり回り始めて、三年後の大事件と、その解決に繋がって行くのだと思う。{/netabare}

クライマックスにつながっていくところでも、
上手く夢のようなシーンに仕立てられているおかげで、
{netabare} 観客は夢と現(うつつ)の境い目を浮遊しているような、
不思議な快感に酔いしれることが出来る。
それだからこそ、カタワレ時が終わった瞬間に、
瀧の中から三葉に関する記憶がはらはらと消え去っていく、その切なさが胸に迫ってくる。
そして、夢だったからこそ、時間線などという大仰なことを言わずに、
バタフライエフェクトみたいな話もすっ飛ばせるんだと思う。{/netabare}


よく指摘される、この作品の問題点は、
{netabare} ①事象の整合性=時間移動の問題を含めてご都合主義すぎないか?って点と、
②主役二人の記憶のあり方、消え方がおかしくないかってこと。
他に、RADWIMPSの挿入歌がうるさいっていうのもあるかな。

①と②については、これは考察班的な問題ではないかと思うし、
突っ込むこと自体が野暮じゃないかと思うのだけど、
それでも敢えて言ってしまうと、
タイムリープものの名作と言われるシュタゲだって、
もっともらしいシチュエーションを積み上げてごま化してるだけで、
タイムリープを作品要素に入れ込んだ以上は、
精緻な論理的解決手段なんてある訳がなくて、タイムリープやループものでご都合主義のない作品は、一言で言ってしまえば、存在しない。
そしてこの作品では、ディテールを連ねるのではなくて、
「夢」という上手い逃げ場を設定できたからこそ、すべてがすんなりと収まった、と考えている。
落語では夢落ちは、もっとも安易な軽蔑される下げなんだけれど、
この作品では、夢をオチに使うのでなく、周到に伏線として張り巡らせてくれているので、
記憶が消えていくところなどで、実に上手く機能している。
RADWIMPSの件については、これはもう好き嫌いの問題でしかなくて、
私は非常に心地よく感じたし、特に英語バージョンでの、
楽曲の作品への寄り添い方の見事さ、理解の深さなど、鳥肌ものだった。{/netabare}

アニメを好きな人がいろいろ言いたいのも解るし、
新海監督を元々好きだった人がいろいろ言いたいのも解るけど、
アケスケに言ってしまうと、
ポスト宮崎駿を狙ったこの作品の最大の得点源は、
新海節を上手に抑えて、
アニメ好きにではなく、
せいぜい年1回、ジブリ作品ぐらいしかアニメは見ないっていう最大多数の観客像を明確に想定して、
最大公約数的な制作姿勢をブレずに貫いたマーケティングの勝利、ということだと思う。


あと、これはホントにどうでもいいことなんだけど、
入れ替わりの最中、{netabare}三葉に入った瀧はブラをしてないですね。
男の子なんだから、ブラが当然面倒くさいのはよく解る。
でも、体育の授業で、バスケットボールをやるときのシュートシーン、
男子が「おおおおっ!」て目で三葉(中身は瀧)、というより三葉の胸を凝視してるところ、大笑い。
で、同時に、瀧が三葉の身体にいることを自ら確認するのも、「おっぱい」。
「あいつに、悪いな」と胸を揉むのを自重してたと思ったら、結局やっぱり揉んでいて、
四葉に「ほんっとに姉ちゃんは自分のおっぱい好きやな!」と突っ込まれたり、
入れ替わりが出来なくなって困っていたあとに、
ようやく願いがかなって入れ替わりに成功したとき、
号泣しながら胸を揉んでるところなんて、もう大爆笑でした。{/netabare}

投稿 : 2017/12/07
閲覧 : 328
サンキュー:

50

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