MLK さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:----
無題
この作品を評価するのは実に難しい。というのは、独特の形式でドラマが展開されるために、各話ごとの評価が非常にばらけるからだ。よって、ここではオール星3で評価をつけさせてもらう。
これは、本作を見た方なら納得してもらえる感想のはずだ。そして大方の皆さん同様、私も三重愛知編が大好きで京都編がまあまあ好き、そのほかはうーん、といったところだ。
各話完結の作品は他にもたくさんあるのに本作に限ってなぜこのような評価が下るのか?それは、本作の特殊な構成に秘密がある。
まず前提として、本作の主人公4人組は「モブ」と言われる存在だ。彼女らはよくアニメで使われるモブという言葉そのままの存在で、強い力を持たない普通の人間だ。その対極には「モサ」と呼ばれる存在がいる。これは、いわゆるヒーローのことであり、この作品の中で世界の中心にいるのは彼らだ。
本作の特殊なところは、12話を通してみると確かに4人組の主人公たちが毎回登場する一つの物語なのだが、各話ごとに見ると彼女たちはあくまで役割としては「モブ」に過ぎず、各話の中心にいて葛藤し成長するのは「モサ」なのだ。
わかりやすく言えば、オムニバス形式のドラマ中で同じ端役が出続けていて、時折その端役にも焦点が当たるといったところだ。
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全体
主人公 モブ4人
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1,2話 3,4話 5,6話 7,8話 9~12話
主人公 モサ モサ モサ モサ モサ
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するとどういうことが起きるか。各話ごとに見ると、モブに焦点が当たらない方が話が一直線に進み面白くなるのだ。特に三重愛知編において四人組はあくまで賑やかしと「モサ」の物理的サポートに努め、鈴鹿と魚虎親子の話が一直線に進行する。これが、東京や広島岡山編のように主人公たちの物語が入り込むとたちまち話が混線してしまう。
しかし、本作の主人公はモブ4人組であり、最初と最後には彼女たちの物語が用意された。そのせいで、視聴者は特に思い入れのない上にイマイチ成長を実感しない4人組と十分に語られないモサの話を同時に見る羽目になり、よくわからないままに話が終了することになる。
全体でみると散らかった印象であるが、4人組を語る必要の少ない中盤の各話に面白いものがあるのは、こういうわけだ。敗因は、全体の配置の中で、4人組の役割が「モブ」であるか「主人公」であるかを統一できなかったことによるものだろう。
成長譚にしたかったならば、もっとロードムービーらしく彼女たちの喜怒哀楽を中心に据えたものであるべきだっただろう。無理に「モサ」と絡まずとも大きなものが動かす「この世界の片隅に」生きるモブだからこそ感じ取れるモブの物語があったはずだ。