二足歩行したくない さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
お子様にはおすすめできない内容だと思います
テレビ本放送のガンダムとしては4作目。
富野監督が「全否定したいと思っている作品」と切って捨てている本作ですが、私的には普通に面白かったです。
一つの戦闘が流暢に進まず冗長に感じる部分もありましたが、ストーリーが進むに連れて秘密が明かされるなど、飽きない展開がされています。
舞台は、F91から30年後のU.C.0153年。
地球連邦はF91の頃よりもさらに形骸化が進み、結果、各コロニーは独立を望む力が強くなり各地で軍事衝突が頻発する「宇宙戦国時代」が到来していた。
そんな中登場したサイド2のザンスカール帝国と、民間レジスタンス組織リガ・ミリティアの戦争を描いた作品。
リガ・ミリティアが連邦サイドで主人公側、ザンスカールが敵方です。
ただ、過去のガンダム作品同様、ザンスカールにも各々異なった立場や思想を持った人物がおり、一枚岩ではないとなっています。
ザンスカールは反逆者をギロチンで公開処刑にかけるという恐怖政治と、マリアという女王を母として崇めるマリア主義により人々を盲目的に先導する、明確な悪の組織なため、ストーリーは単純でわかりやすいです。
F91や過去の宇宙世紀ガンダムとは時間的な繋がりはありますが、ストーリー的には連続しておらず、Vガンダムもビクトリータイプのモデルスーツでガンダムではありません。
ニュータイプや強化人間といったワードは一応登場しますが、知らなくても本作からの視聴で問題はないかと。
主人公のウッソ・エヴィンは地球で幼馴染のシャクティ・カリンと暮らしていたところ、戦いに巻き込まれ、気がついたらモビルスーツに乗って戦っていたという巻き込まれ型の主人公なのですが、残念なところとして、主人公から、結局のところ何のために、どういった思想や主義から戦っているのかが感じられませんでした。
ザンスカールの幹部も各々が別のベクトルを向いているようで、何故戦っているのか、何が許せないのかが観ていてもわからず、モビルスーツで戦うために理由を作っているのではないかとすら思えました。
ある意味では、戦争の渦に巻き込まれて、登場人物全員が狂気に取り憑かれてしまったとも読み取れる内容だと思います。
ストーリーは全体的に暗く、それもΖ的な暗さではなく、鬱々とした雰囲気があります。
主人公は13歳の子供で、子供なのにモビルスーツに乗って戦争をしているということについての周囲の大人や敵兵、そしてウッソ自身の苦悩、ウッソに対し異常な感情をぶつける女性たち、ギロチンや罪のない人々の大量殺戮など、直接的に残酷であったり扇情的なシーンが多々あり、お子様にはおすすめできない内容だと思います。
総括としては、見てよかった作品ですが、ラストはハッピーエンドなのか微妙なところでした。