こすみどる さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
純愛の最高峰
誰もが一度は観るべき名作。
今まで恋愛のみにフォーカスした作品の中で、ここまで純愛に振り切った作品とは出会ったことがない。
「君に届け」、「俺物語」、そういう作品に近いと言えば近いのだけれど、そういった名作達とは一線を画すリアルがそこにはあった。
等身大の姿があって、思い返せば自分も同じ頃、同じようなことを考え同じようなことをしていた。
ここまで刺さっているのは自分の過去の体験と重なる部分が多かったからかもしれない。
それでも、当然ながら自分はこの作品の結末のようにはなっていなくて、でも当時はこれが理想だと思っていて、苦しんで、もがいて、追い求めて、離れた。
純愛、初恋、理想というものがこれ以上ない程詰まっていて、心がじんわりと暖かくなって、自然と涙が出そうになって、言葉では言い表すことができないような幸福感があった。
まさに純文学をアニメ化したような、複雑な心情を丁寧に描写した真っ直ぐな作品。
恋愛をテーマにした作品には珍しく、アフターストーリーがあって、今までが伏線になっていて、最後に丁寧に回収されて、最後の別れのシーンだけでも十分だったのに、エンディングが想像をはるかに越えていって、涙が止まらなくなってしまった。
恋愛、友情、家族や周囲の愛情。
抗うことが出来ない変化、止めたくても止まらない時間。
不安の中でもがく青春。
移りゆくものの中で、大切なものを見失わない二人が、そこにはいた。
リアルな描写だからこそ、映える理想。
綺麗すぎる流れ、結末に納得しない人もいるかもしれないけれど、純愛作品の中では最高峰だと思う。
好きになったキッカケや恋が愛に結びついていく過程の描写がやや曖昧なのが特にリアル。
{netabare}
中学生の恋愛の始まりはこんなものだと思う。
振り返ってみると、キッカケは思い出せないくらいささやかなものなんだ。
でも、エンディングのLINEのやりとりが、二人の恋を愛に結びつける過程をあえてスポットで描写していることから、「あぁ、二人はこのあときちんと恋を愛に育んでいたんだ」と匂わせてくれる。
{/netabare}
すごく、好きだ。
何度でも観たい。ずっと。いくつになっても。
たとえこの先、理想に破れた経験をしたとしても。
忘れかけていたものを思い出させてくれる、とても大事な作品になった。
この作品に携わったすべての人たちにありがとうを言いたい。
言っても言い切れないくらい、とても愛のある、温かい作品でした。
ありがとう。