イクザ さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
勢い任せの作品。そして勢いで最後まで押し切った名作品。
見たのはだいぶ前なのでうろ覚え。
一話ずつを見れば、「なんだこれ」という話もある。覚えているのは、カミナが「合体だー合体だー」とシモンに襲いかかるシーン。はっきり言って無茶苦茶だし、「なぜ合体なのか」という理由は一切描かれない。ただ、この作品にとって、そんな「些細な整合性」などはどうでもいいことだというのが見ている内にわかってくる。
今作は「男の生き様」がテーマであり、また、「少年の成長譚」もコンセプトに掲げられている。加えて、「女の生き様」、「人それぞれの生き方」も描かれ、つまりは「群像劇」の様相を呈している。
いいシーンやセリフ、好きなキャラは枚挙に暇がないので割愛するが、個人的に今作で最大に評価しているのはその構成にある。
大きく3部に分けられている今作だが、各章にタイトルを付けるとすると
カミナに引っ張られて旅立つも大きな挫折を味わう「旅立ち編」
そこから守るものを見つけて、漢に成長していく「成長編」
強敵を倒したその後の世界を描き、再び敵に立ち向かう「最後の戦い編」。
月並みだがこんなところか。
中でも最も評価したいのは第3部の「最後の戦い編」。
このパートは、英雄であるシモンが一転悪者扱いされ、裏切る可能性があるからという理由で、爆弾を積んだ機体で戦わされる(しかもそれを要求するのがかつてシモンが助けた戦友)等、メインターゲットの小学校低学年からすれば、おそらく胸糞悪く、納得がいかないシーンが多いと思う。しかし、その辱めを甘んじて受け、それでも人々のために戦い、最後は恋人を失う事がわかっていながら最後まで戦い切るシモンは素直にかっこいいと思えるはずだし、この作品を見た少年達が少し大人になった頃、作品中でシモンを悪者扱いした戦友も、決してそれが本心ではなく、そうせざるを得なかった事が次第にわかってくるのではないかと思う。
つまりこの3部は「世の中ってままならないし、思い通りに行かないし、報われないし、納得行かないこともあるけれど、それでも通すべき筋はある」と言いたいわけで、それがすなわち「男の生き様」であり、「少年の成長譚」の最終章なのである。
この作品は2部まででもしっかりまとまっているし、3部がなくても十分に面白い。ただ、それは「こういう作品ってよくあるよね」というレベルに留まるものだ。グレンラガンをグレンラガン足らしめるのがこの第3部で、この大3部を以てして、グレンラガンは名作に数えられる作品になり得たのではと思う。
毎年再放送をして、子供達に何度でも見てもらいたいと思える作品。