TAKARU1996 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
小さな小さな薬莢の、重たい重たい恐ろしさ
私、あまりガンダムシリーズは詳しくありません。
なので、時系列やら関係図やらも全て分からない白紙の状態で観てしまったと言うのが正直な所です。
1番惹かれたのは、全6話で物語を隅から隅まで体感出来るからと言う、ある意味において非常に失礼な理由
そして、至極時間のない現代人っぽい理由
観終わってから、その動機で観始めた事を密かに詫びたくなりました。
本当にすみません、舐めてました。
この作品、とても秀逸な要素を持っていると思います。
これは、1人の少年が味わうには確かに辛すぎる物語です。
しかし、少年アルは最終話において、「戦争」について分かった振りをする事が出来なくなりました。
この時点で、平和な世界で生きている私よりも、遥かに大人になったと言えるのでしょう。
これは、1人の少年の成長の物語
大人として生きていく為の通過儀礼を如実に語ったアニメだったのです。
しかし、それでも私は思ってしまうのです。
これは、成長するにおいて、絶対味わわないといけない苦難だったのか?
出来るのであれば、味わわせない方が良い苦難ではなかったか?
こんな結末に至らせなくとも、知らせる事は少なからず出来たんじゃないか?
戦時中に生きていない、甘えた私の甘っちょろい意見
そんな無理に隠した内容とメッセージで神髄が伝わる訳もありません。
ただ、感情は理屈通りには進まないのです。
感情と理性の乖離を手酷く実感した最終回でした。
でも、ただ1つだけ言える事があります。
それは、格好良い男とは、バーニィのような人間を指す言葉だと言う事
後に続く子供の未来を背負って、自身の感情を詳らかにせず、信念を通した生き方を行う。
これこそ、人間として格好良い生き方の1つではないでしょうか?
私もまだ20代
バーニィと同じ年頃でありながらも、「戦争」なんて言葉は物語の中でしか体感出来ず、実際にそれを実感した事もない人間世代です
それは言ってしまえば、出来れば学ばなくても良い事を学んでしまったアルよりも子供なんです。
でも、だからこそ、こういった作品は埋もれさせてはいけないと思います。
ポケットの中にも空がひろがり、雲がながれて、海がひろがり、鳥がとびたつ。
某アニメソングで紡がれていた素敵な世界は、本作ではあまり描かれません。
でも、少ないながらもあったんです。
バーニィとアルの堅い友情
バーニィとクリスの淡い恋情
そして、アルが生きている小さい世界の温情
真に悪い人なんてのは本当に少なくて、そしてだからこそ、誰しもの人生が酷く愛おしい。
クリスマス、それは皆が浮かれきっている日、大切さなんて考えもしない日
だからこそ、独りで本作を観てみるのも一興かもしれません。
大切なものを振り返る時間と言うのは、人間誰しも必要なもの
恐らく、生涯忘れられないクリスマスになるでしょう……
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わたしは死を左のポケットに入れて持ち歩いている。
そいつを取り出して、話しかけてみる。
「やあ、ベイビー、どうしてる? いつわたしのもとにやってきてくれるのかな? ちゃんと心構えしておくからね」
ヘンリー・チャールズ・ブコウスキー『死をポケットに入れて』
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