こたろう さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ノイタミナの拘り、それが真、サスペンスホラー、それが理、抽象画表現、それが形
一言でいえば怪談です。
独特のモダンな表現が何よりも特徴的ですが、お話の中身は身も凍るような恐ろしさがあります。
妖怪の類が祟ったりするという単純な恐怖ではなく、人間の醜悪さから端を発してモノノ怪が発現するというところが、なんともいえない恐怖です。
カラフルなテスクチャーを用いたCGで描かれた作画は、他に類を見ないものです。色使いだけでなくカット割や動きも大変に独創的。
怪談なので静かに淡々と進行するストーリーですが、語り部がいるわけでなく、人物同士の会話で進行していく形態です。
この会話に合わせたカットが目まぐるしく切り替わる画面構成は、アニメーションとしての動きを表現するのではなく、状況を補足する挿絵のような役割を果たしています。
モブキャラや背景を抽象的に描いているのも、人物や会話を引き立たせるのに一役買っています。
冒頭で書いたとうり、物語は人間の業が原因のホラー。
物の怪の形を得るため、真(隠された真実)、そして理(関わる人達の心)を解き明かしていく構成。
怪談というより、サスペンスの謎解きのようで面白いのですが、人間の闇の部分を抉るような話なので、実にドロドロします。
まさに「げに恐ろしきは人間かな」です。
個人的には、こういった前衛的な抽象表現は大の苦手なんですが、本作はそんなニガテ意識など気にならないくらい、惹きつけるものがありました。
目がチカチカするような配色も、芝居がかった演出も、本作ならでは。ピッタリとハマってます。
気に食わないけど、見終わった後、「お見事!」って言ってしまいました。
個人的嗜好を超えて、良作と評してしまう作品です。
くそっ、ほんと悔しいけど・・・・・面白かった!