四文字屋 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
秒速と君の名は。をつなぐ、美しい小品。
心に傷を負った27歳の女性と、ちょっと孤独な高校1年男子の、ありそうでもあり、ぜったい無いだろうとも思える、無垢でささやかな交流と恋を通じて、それぞれの再生と成長のひと時を切り取って描いた物語。
心情の変化や、感情の機微を、人物の絵と声や風景や水を通じて、観る側で推し量っていくことで、心に響く音が変わっていく。
いわゆる新海エンドではなく、未来に向けて歩きだす意思が、心地よい。
美術のクォリティはいつも以上。
みなもや地表にはぜる数多の雨滴が殊のほか美しい。
制作背景を鑑みるに、基本的にはひとりで作って来た新海氏が、職業集団でのチーム作業に軸足を移行する過程にあたっている。
そのために本人がもともと指向してきた、いわゆる新海エンドから脱却し、商業作品のスタンスに自覚的になったところが、このあとに続く転換点なのだと思う。