「新世紀エヴァンゲリオン(TVアニメ動画)」

総合得点
90.7
感想・評価
6267
棚に入れた
25341
ランキング
50
★★★★★ 4.1 (6267)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.1
音楽
4.3
キャラ
4.2

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じぇりー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

20年前に出会っておくべきだった…今の半分も理解できないだろうけど。

ここで、こうして色々なアニメのレビューを書くのであれば、エヴァくらい嗜んでおけ…
と、そんなことを言われ、今後のためにも確かに押さえておく必要はあると思い視聴することに。

「残酷な天使のテーゼ」「ロボット(あの初号機のデザイン)」「パイロットが子供」という程度の前知識だけしかない上に、ロボットアニメに関しては浅学な私の挑戦であった。

20年以上も前の作品。当然その頃のアニメ業界の事情も現在とは大きく違ったであろう。本作が現在に至っても語り草になり得た部分はどこにあったのか。
昨今のように、数多のアニメを楽しめる時代とは違う、というかそのような時代を切り拓いた功労者のようにさえなっている「エヴァンゲリオン」の一体何が、当時「斬新」だったのか。

…正直、26話通して視聴してもその点においては余りピンとは来なかった。やはり20年前に見ておくべきだった。
ただし、現代のアニメを先に見ている私にしてみたら、それらと比べて大きく何かが違うといった所が見られなかった…ということは、裏を返せばエヴァの放送後にその影響を受けて創られた作品が多く存在するということなのかもしれない。
あくまで想像の域を超えないが。

さて、時代云々はともかくとして、一アニメ作品としてのエヴァのレビューもしておきたいと思う。尚、★評価はある程度時代を慮りつつも、自分の印象に沿う形でつけたものだ。
ロボットアニメ、と聞くと空を飛んだり、ミサイルを撃ったり…というものを想像していた私には、エヴァでの戦い方はインパクトがあった。
かなり物理的。ロボットなのにパンチやキックで敵と戦う、肉弾戦多し。武器を用いることもあるが、機体に内臓されている訳ではなく、あくまで装備の一つに過ぎない。
だからこそだと思うが、当時の技術としては戦闘シーンの作画はかなり良くできているのではないか。物理戦闘をするロボット、何故か損傷するとそこから血のような赤い液体を流す所とか、少しグロいが良い動きをしている。

そして意外にも、子供が主人公の作品であるにも関わらず、大人の恋愛を描いたアダルトなシーンがあることが衝撃的だった。
そう、恋愛以外の要素においてもだが、この作品に登場する大人たちは誰もが、およそ見習いたくないどこか欠落した部分を持っている。
いくらエヴァが子供にしか操れないロボットだからといっても、それを開発し、彼らに「世界を救う」という逃げ出したくもなる試練を強いているのだから、この作品における大人たちは皆どこかエゴイスティックに見える。

エヴァンゲリオンが殲滅すべき仇敵となっているのは、どこから来たのかも分からない「使徒(=Angel)」と呼ばれるユニークな造形の生命体たち。
「天使を迎え撃つ」という行為そのものが、人が神を超えた力を手に入れようとしていること、禁忌に手を染めようとしていることの象徴のような気がして、人類の誤った選択が起こす惨劇を見ているようだ。

私が本作品において最も好感を持ったのは、主人公・シンジを始めとするエヴァに関わった子供たちの精神・心理をリアルに描いている点だ。
昨今においてもバトル系作品の殆どが、主人公の肉体・精神両面の成長を描いているのに対し、本作品は戦えば戦う程に子供たちの幼さや脆さが露呈している。
普通に考えれば、たった14歳で巨大なロボットの操縦を任され、命懸けで未知の生物と戦うことで、人類を危機から救うという使命を負わさるなんて、どんな罰ゲームだろうか。
そんな状況下で、恐怖・不安・怒り・嫉妬などといった、要は「汚い」とされる感情を子供たちが抱く様を描くことで、リアリティーが生まれる。これは非常に挑戦的な試みだったのではないだろうか。
「シンクロ率」なんてのは大人達の作った都合の良い理論で、エヴァに乗っているのは決して特別な子供ではなく、どこにでもいる多感で難しい年頃の少年少女達なのだ。
だからこそ私は、子供たちの移り変わる心の機微に、苛立つことなく寄り添うことができた。

さて、ここから不満点を。
「残酷な天使のテーゼ」は文句なしの名曲である。だが、特に終盤で頻繁に使用されるクラシック曲が、BGMとしては全くシーンに合っていない。
特にベートーヴェンの「歓喜の歌」の流れる例のシーン。なぜこの曲をあのタイミングで流すのか、理解に苦しむ。
それに合わせて言いたいのが、これも特に終盤でよく見られた妙な「間」の多さだ。先ほどのBGMのシーンといい、演出の一部と捉えるには少々厳しい、静止画のシーンの多さ。
モノローグではなく、明らかに会話しているはずのシーンでもキャラクターの口は動いていなかったり。
ついでに言うと、次回予告の手抜きも露骨すぎて、素人目にも制作が追いついていない感が手に取るように分かる。

物議を醸しているラスト2話に関しては、一つの創作物として考えた時に、私はこれはこの作品なりの終着点だったのだろうと思うことにしたが(良し悪しに関しては劇場版を見てからの判断にしたい)、こと作画に関しては「間に合わなかったのかな…」という印象を拭うことはできない。

さて、この後視聴予定の劇場版で、この辺りが「補完」されるのか、楽しみなところである。

投稿 : 2017/08/25
閲覧 : 363
サンキュー:

19

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