どらむろ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
奇抜だが完成度の高い、芸能コメディーの怪作。西洋史ネタもセンス良いです
10分枠のギャグアニメ全12話。
「動かない石膏像が喋ってアイドルやっている世界観」のシュールさが見所ですが、このオンリーワンなネタ設定が遺憾なく発揮されていて面白いです。
ネタアニメではありますが、良質。何気にお気に入り作品です。
{netabare}『物語』
美術の教材で使われるような石膏像たちがアイドルユニットを結成!
石膏像なので表情も変わらず自力で動けない、なのに普通に男性アイドルとして喋ったり芸能活動したり…
やる事なす事、セリフ一つ一つが尽くシュールで笑えますw
ヒロインの美大卒のマネージャー・石本美希ちゃんが石膏ボーイズ(通称・イシボ)の奔放さに翻弄されるコメディーでもあり、そのやりとりを通じて、次第に石膏がアイドルやる違和感と可笑しさがこみ上げてくる…
普通ならば出オチ、一発ネタで終わりそうなもの。
ところが本作は10分枠とはいえ、全12話通してこのシュールさを活かしたギャグやコメディーの持ち味を維持。
芸能界パロディーは普通にやっては興醒めする所を、石膏にやらせる事でシュールな化学反応を生んでいる。
生臭くなりがちなスキャンダルネタも、石膏が当事者だと途端にシュールw
芸能ネタに限らず「石膏が人間くさく喋る」会話劇自体がシュールで可笑しいです。
大卒のヒロインが悪戦苦闘しながら成長する、新米社会人のお仕事アニメとしても中々侮れない。
何気にハーレム物…な感じが全くしない、だって石膏だもの!
ネガティブさはシュールな可笑しさに変換しつつ、ちゃんと可愛さも感じられる。
芸能ネタだけでなく、石膏像のモデルとなった歴史上や神話上の逸話を活かしたコメディーも教養を感じ、センスが良いです。
アグリッパ(ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの腹心)など、西洋史を下敷きにしたネタ好きです。
聖ジョルジョのドラゴン退治や殉教、メディチ家の黒い歴史の闇などなど、それらが世俗的な現代で新米芸能人やっている故の可笑しさに繋げていくのは上手い。
調子に乗っちゃってる新米アイドルあるある?な展開を、歴史的な逸話に絡めていく。
神様や偉人が現代で芸能人やっているようなもの、それ自体は前例ある陳腐なネタなんですが、そこに石膏要素と新米アイドルっぽい俗物さが加わり、本作独自の味が出てました。
総じて、出オチに留まらない高い完成度と、確かな魅力を感じるコメディーでした。
オンリーワンなオリジナリティー抜群。
アイディア・コンセプトと表現次第でこういう作品もありうる、大袈裟かもですが、アニメの可能性の一端を感じた力作でした。
『作画』
石ボは完全に石膏像そのもの、口も表情も不動なのが本作の可笑しさに。
では手抜きかといえば否。見せ方や構図が上手く、センスが良い。
人間のヒロイン美希ちゃんの可愛さが申し分ないのもグッド。
『声優』
石膏像が動かぬ分は声優陣の演技力で命を吹き込む。作風上、声優陣の影響力が大きい。
イシボならぬイケボ揃いですが、特に杉田智和さんはハマリ役でした。
ヒロイン役の古城門志帆さんはプリパラのアロマちゃんの人、苦労人社会人の喜怒哀楽もバッチリでした。
小林ゆうさんの黒柳もとい風呂柳節子もお見事。
『音楽』
石膏ボーイズ(杉田智和さん、立花慎之介さん、福山潤さん、小野大輔さん)が歌うED「星空ランデブー」が印象的。セッコー!
杉田さんは掛け声担当w
『キャラ』
22歳新社会人・石本美希ちゃん可愛いです。感情豊かで次第に石膏のマネージャー業務に順応していく。
可愛さとバイタリティー兼ね備えた主人公だった。
石ボ四人衆は絵的に動かず見分けが付きにくいにも関わらず、個性抜群。
真面目よりな聖ジョルジュとマルス、おふざけ寄りなメディチとヘルメス。
どいつもこいつも石膏らしからぬヤンチャぶり、実話に基づくキャラ付けも光ります。
他の石膏、モリエールとブルータスも。ブルータスは有名なシーザー裏切りネタがw
アグリッパ(ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの腹心)はレギュラー入りしてもいい位の逸材!
黒柳もとい風呂柳節子、タモリもといトモリなどの芸能人もベタながらいい味出してたです。{/netabare}