Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「繰り返す夏休みの1日、何度でも君に恋をする」
この作品は1993年にテレビドラマ化され、1995年に映画も上映されたそうですがどちらも未視聴です。
ヒロインの及川なずな役を女優の広瀬すずさん、島田典道役を菅田将暉さんが演じられる事から、上映前からテレビで大騒ぎになっているのを殆どテレビを見ない私でも知っていましたから、きっと相当の反響だったんだと思います。
それと、この作品はスタッフ陣が凄いんです。
総監督に新房昭之さん、監督に武内宣之さん、キャラクターデザインに渡辺明夫さん、そして音楽が神前暁さんでアニメーション制作会社がシャフト…
西尾維新さんの物語シリーズを彷彿とさせる面子が勢揃いしているではありませんか…
独特のカメラワークとエッジの効いた作画…
このスタッフ陣を見る限り面白くない筈がないので、視聴前から期待は高まるばかりでした。
物語の舞台は、海岸にほど近く高低差の多い昔ながらの街並みが連なる茂下(もしも)町…
そして、中学校の夏休みの登校日の朝から物語が始まります。
今夜は神社のお祭りと花火大会があるからか、学校でも男の子達が花火の話題で盛り上がっているのですが、その内容が何とも…
「花火って横から見ると、丸いか、それとも平べったいか…?」
自分が中学の頃、そんな疑問なんて考えもしませんでしたが、最近の中学生ってこんな感じなんでしょうかね…?
そして花火の話題に混ざっていた島田典道と、同じクラスの及川なずなに接点が生まれ、物語が動いていきます。
まず作画は期待通り…いえ、期待以上の出来栄えだったと思います。
学校の校舎は物語シリーズの私立直江津高校に狙ったと思えるほど似ていてクスリと笑えましたが、その他の作画…特に打ち上げ花火の綺麗さは圧巻の一言です。
原作では登場人物は小学生だったのですが、アニメでは中学1年に変更されています。
たまたまテレビで見かけたのですが、その理由は「日本のアニメーターは中学生の女の子を描くのが抜群に上手だから…」言葉尻に多少の違いがあるかもしれませんが、大体こんな感じだったと思います。
個人的には中学生だけじゃなく、高校生や大人でも十分上手だと思いますが、この変更は大当たりだったと思います。
ヒロインの及川なずな…中学1年生の筈なのに、時折見せる仕草や目線には色っぽさを感じてドキッとする場面がありましたから…
この作品は既に実写化されたモノが下地となっています。
私の中では実写化できない作品がアニメ化される…という認識がありました。
従って、本作は私の認識とずれていると思っていました。
でも、パンフレットの中に物凄く興味深いコメントが載っていたんです。
「実写ではできないなと思ったのが、眼球の芝居なんです。キャラの寄りが出てくるとき、その目がすごくキラキラしていて芝居をしているんですよね。実写で役者さんの目だけを切り取って芝居しろていってもできないわけで…」
きっと本作を視聴した方なら一発で納得できるコメントだと思います。
なずなを始めとする登場人物の瞳を気にしながら視聴すると納得できる…というか、気付いたら彼女の瞳の輝きに引き寄せられていますから…
なずなと典道が紡ぐちょっと摩訶不思議な物語…
2人の時間は限られています…
でもその僅かな時間を全力で2人は駆け抜けていきます。
その先にどんなキラキラが待っているのか、気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
きっとこれ以上無いキラキラが見れると思います。
花火…そして2人の…
主題歌は、DAOKOさん×米津玄師さんの「打上花火」
DAOKOさんは、「神撃のバハムート VIRGIN SOUL」のエンディングも歌っているので気になっていた歌手でしたが、この「打上花火」は心に痺れる良曲だと思います。
上映時間は90分ですが本当にあっという間でした。
全般的なクオリティが非常に高い作品だったと思います。
だからこそ…なずなや典道には声優さんを起用して欲しかった…が本音です。
確かに人気女優や俳優はネームバリューもありますし、動員の数字にも直結するとは思います。
パンフレットにも「広瀬さんはいい意味で不安定な魅力があって、声に儚さを感じさせてくれる…」
と書いてありましたが、個人的には台詞の言い回しにたどたどしさを感じましたし、不安定な魅力や声に儚さを感じさせてくれる声優さんだって他にいると思うんですけどね。
でも興味のある方なら一見の価値ある作品だったと思います。