四畳半愛好家 さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「平和な」21世紀版タイガーマスクをどう評価するか
『巨人の星』『あしたのジョー』に代表される熱血スポ根漫画の祖:梶原一騎原作のアニメ『タイガーマスク』から約40年後の世界が舞台となっている続編(原作の存在しないオリジナル作品)。
全38話(3クール作品)。
ちなみに「W」は草とは読まない(当たり前)。
先ず、個人的に楽しかったか?つまらなかったか?と訊かれれば、「非常に楽しかった。」と答えたい。
ただ、初代タイガーマスクのストイックな熱さを期待していた人には、この「どこか平和で、コメディチックな」タイガーマスクは受け入れ難い部分があるだろうと思う。
自分は、『巨人の星』や『あしたのジョー』は好きで、特に後者は未だに読み返したりするものの、『タイガーマスク』に関しては、子供の時分に友人の家で飛ばし飛ばし読んだ程度なので、大した思い入れがはなく、逆に本作を受け入れやすかった部分がある。(大した思い入れは無かったものの、「
タイガーマスク」というキャラクターを子供心に格好いいと思い、某格ゲーでも贔屓して使用していた覚えがある。(格ゲーは「虎」でなく「ジャガー」であることに気付いたのは大分後だった…。))
初代と比較し、本作では、敵組織「虎の穴」(ひらがなで書くとオタク御用達の店名に)のレスラーたちは本気で「殺し」には来ないし、敵のボス:ミスターXもあくまで興行重視のリアルなスタンスをとっている…。
内容としてもギャグ回も多いし、鬼気迫るような回は少ない。恋愛模様や女子プロレスの描写もあり、男臭さもだいぶ薄らいでいる…。
初代と比べて実に平和であり、いささか熱さが足りないのは、否めない。
良くも悪くも、本物の「プロレス」に近くなった作品といえそうだ。プロレス紹介アニメとしても十分な役割を担える作品となっている。実際視聴前は日本プロレス事情に対する知識がゼロだった自分も、主要な選手名くらいは覚えられたし、試合も「機会があれば」観てみたいと思えるまでになった。
真剣な戦いの合間に笑える要素もちりばめた本作のバランスも、個人的に気に入った部分であり、この気楽に観れる軽さも特徴といえる。
また、新たにダブルヒーロー方式をとったのも面白い試みであり、個人的に最後まで飽きずに楽しめた大きな要因の一つであった。
しかし、アニメ好きとプロレス好きは互いに相いれない部分もあると思うし、3クールという長さもあって、気軽に勧められる作品ではない…。
「タイガーマスク」に少なからずの思い入れがある人でないと、なかなか視聴する気にはなれないだろうし、それでいいのだと思う。
以下項目別感想{netabare}
♦物語:
タイガーマスクシリーズの中でも、圧倒的に「平和」であり「軽い」。
この軽さをどう捉えるかで評価は別れてくる。
個人的にはシリアスとコメディのバランスが心地よかったが…。
ただ勿体なかったのは、宿敵ザ・サードが最終的にはそこまで強く見えなかったことだろうか。タクマ一人で圧倒してたし…。終盤までは絶望的なまでに強いと思っていたのに…。
それと最終回の女子プロ回。クライマックスを終えた後であり、おまけ程度のクオリティーだろうと、あまり期待せずに視聴したものの、某女子プロレスを描いた作品「世界でいちばん~」の百倍面白かった(失礼)。最後まで気を抜かず、楽しませようと努力した姿勢も評価したい。
♦声優&キャラ:3.5&4.0点
声優演技は可もなく不可もなく。
キャラは沢山出てくるけど、みんな個性が強くて魅力的。主人公二人?やヒロイン等の主要キャラも勿論、敵キャラも憎めない。
ミスXなんて、最初はミステリアスな感じがあったものの、蓋を開けてみればただの苦労している中間管理職であり、敵ながら応援したくなる魅力があった。(気遣いもできるみたいだ…。)
そのほか、ケビンやふくわらマスク等々、語りたいキャラは沢山いるが省略。
♦音楽:3.5点
OP・EDともに湘南乃風。これまた、アニメ好き層とファン層が大きくずれている印象があるアーティスト。(自分もああいうドスのきいた歌声は受け入れがたい部分がある…。(失礼))
OPは、初代の「行け!タイガーマスク」のカバー。選曲は熱いと言わざるを得ないが、どうしても「無駄にうるさい」と感じてしまう。初代OPの渋さが完全に失われていて…正直残念だった。
一方EDの「KING OF THE WILD」は、映像が格好良すぎることもあり、ドはまり。自分が湘南乃風の楽曲を好きになる日が来ようとは…。(失礼)
♦作画:3.5点
初代をリスペクトした、どこか劇画チックな動きのあるアニメ。動きが綺麗なわけではないが、独特な魅力がある。
{/netabare}