「けものフレンズ(TVアニメ動画)」

総合得点
83.1
感想・評価
1224
棚に入れた
4729
ランキング
336
★★★★☆ 3.7 (1224)
物語
3.8
作画
3.2
声優
3.6
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

humor さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

けものフレンズの評価すべき5大ポイント

けものフレンズ、それが話題作であるからか、世間的には過大評価というレッテルを貼られている。けど、少なくとも話題作になるだけの他のアニメ作品にはない要因があったように思う。また、その要因こそが、このアニメの良さにつながっているのではないだろうか。よって、確かにアニメのできとしてはあまり評価すべきではないものの、別のメタ的な楽しみ方ができるという意味で、やはりカルト的人気を誇るべき作品であるのだろう。


要因1:本家スマホゲーがすでにサービス終了している
 ネットで話題になったのに、これを超える要因はあるまい。僕がこのアニメを知ったのは某掲示板においてだったが、その第一印象ときたら「墓荒らし」とか「死体蹴り」とか、散々なものだった...。(それだけで、ネタとしてはすごく面白いのだが。)
 しかし、最初からその予定だったのか、あるいは急遽進路変更したのかは知らないが、なんとこのアニメは原作ゲームが終わった後の放逐された世界を描いているのである。普通のスマホゲー原作のアニメなら、ただキャラが動いて、喋って、日常生活を送る、という陳腐なそのゲームを元々プレイしたファンへのサービスになりがちである。しかし、サービス終了後の世界を描くことによって、アニメはゆるいSFの性質を帯び、視聴者はゲーム世界のポストアポカリプスを見ているような、アニメ外のメタ的な楽しみ方ができたわけだ。それは、そのような柔軟な舵取りのできたたつき監督の実力である。

要因2:声優の独特さ、語録の中毒性
 アニメで同様に特徴的なのが、やはりサーバルなどの声優のわざとらしくピュアな演技であろう。また、その語調から繰り出される「すっごーい」や「○○なフレンズなんだね」などの語録。それは、煽りとしての汎用性が高く、ネットで頻繁に使われる中毒性を持っているのである。これは、作品の持つ個性であり、ネットを通じて流行するのに大きな役割を果たしたと言えるだろう。
 よって声優の評価にセリフの評価も含めて☆4.5である。

要因3:CGアニメという目新しさ
 これも、このアニメを語る上では欠かせないだろう。これまでのアニメでも、例えばダンスの部分のみでCGが使われることはいくらか例があったが、全てCGのアニメは少ないのではないか。その目新しさは、良かれ悪かれこのアニメに独特なものであり、ある程度話題になれば、このアニメの流行に繋がるのも当然である。
 さらに、このアニメにはCGを使ってやろうという意図も感じられた。アニメ全体としてカメラワークのある画が多かったように思える。CGだとそれが容易なのだろう。一話の始まり、サーバルが草原を駆け回るシーンにおいて、そのCGアニメに対するあまりの違和感に、ニコニコなんかだと「視聴者厳選」などのコメントが見られた。けど違うのでないか。それは、一つのカメラテストであり、「CGだと現状このくらいのことができるんだぞ」とダイナミックに主張していたのだと、少なくとも僕は思う。
 少人数アニメであることから、CGのチャチさは否めないが、目新しさでカバーしたということで作画は☆3.0である。

要因4:たつき監督の持つ意欲
 このアニメは間違いなくたつき監督の株をあげるものであった。だが、一部のアニメファンにとってはそれはあまり驚くべき結果ではないのではないだろうか。たつき監督は「てさぐれ部活モノ」を手がけており、そのアニメ自体も他のアニメにはない独特なものをたくさん持っている。たつき監督は何かしら意欲作を生み出してくれる。少なくとも、僕はたつき監督を前から知っていたし、このアニメの監督が彼だということを聞いただけで、良かれ悪かれ「ただじゃすまない感」を抱いていた。

要因5:シンプルで馴染みやすいテーマ
 ようやくアニメの内容に入る。この作品には、裏ですでに述べたメタ的な楽しみ方がある一方で、表では実は人間である主人公が、様々な人型の動物たちとほのぼのと旅をするという日常系に近い楽しみ方もある。アニメ全体で一貫しているテーマは、「人間と動物は互いにわかりあえるか」というシンプルで馴染みやすいものであり、視聴者としても観やすかったのではないか。(別にテーマがそれと理解できなかったとしても十分に楽しめるものである、ということである。)
 そのテーマは、例えば1話と12話の対比構造によく現れている。1話では、人間が動物とは違い、木登りや崖降りが下手なこと、走ってもパンティングしないこと、水を飲むときに手を使うこと、紙飛行機で敵の気を引く知恵があること、ロボットと話ができること、などが殊更に表現されていた。特に、人間、動物、ロボットの間で交わされるちぐはぐな意思疎通は、少なくとも僕にはとても不安に思えるものであった。一方で、12話では、かばんはサーバルに倣って木登りをしていたし、サーバルもかばんにならって紙飛行機を飛ばしていたし、人間と動物とロボットの全員が和気藹々と交流できていた。作品全体として、人間と動物の分かち合いを描きたかったのは明確であろう。
 それから、たつき監督の作品は、戦闘時の音楽にEDMを使用しているのが現代的である。GAINAXとかだとEDMをとても効果的に使うイメージがあるが、本作品ではまあ普通といったところか。
 キャラクターとしては、通常の日常系アニメとあまり変わらず☆3.0である。
 シンプルで馴染みやすいテーマと丁寧な演出から、物語の評価は☆4.0である。
 音楽演出は、少々の現代的な演出から☆3.5である。

投稿 : 2017/08/19
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サンキュー:

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