◇fumi◆ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
デラ、春の香りがするな。たまこの風か?
2014年公開の劇場版アニメ 2013年のアニメ「たまこまーけっと」の続編
監督 山田尚子 脚本 吉田玲子 原案作画監督 堀口悠紀子
制作 京都アニメーション
変な鳥デラ・モチマッヅイが南の国に帰ってから1年半後のお話。
たまこまーけっとの最終回では高校2年生に進学していたたまこも、
高校3年生の終わりに近づいている時期。
この多感な時期に全然成長していないようにも見えますが、
劇場版アニメが始まると同時に大きく運命が動き出すようです。
でも、良く観るとたまこ以外の登場人物は相当変わっていますね。
みどりとかんなはもう大人の風格があります。
{netabare}どう見てもビューティフルでは無かったデラちゃんの「ビューティフルドリーマー時空」は終わりをつげ、
少しずつ変わっていく少年少女たちの小さな物語。
たまこが遭遇した驚天動地の愛の告白。ただそれだけですね。
デラのせいかどうかは分かりませんが、たまこの心はあの時のまま止まっているようです。
うさぎ山商店街や高校や自宅も微妙に変わっているのですが、
たまこの心が動き出すのは中間部の河の飛び石でもち蔵の告白。
二人だけの静かで美しいシーンは、まるで「風の谷のナウシカ」の中間部のようでした。
地味ながらも高度な演出を使ったたまこの衝撃は止まっていた時間が動き出すのを見事に表現しています。
ふ~んと観ていた自分はここで名作の予感が大きく膨らんだのです。
もち蔵の背中を押したみどりの気持ちにも惹かれました。
後にたまこをも告白へと押し出すみどりの本当の気持ちは・・・
なにも描かれません。
みどりとかんなは自分たちの青春の終わりを祝福するように、ちょっと寂し気に未来を見るのです。
このしなやかな青春のひとこまは、脚本家吉田玲子のマジックでしょう。
安易な三角関係失恋に持ち込まない大人な展開に、大切な物語を知りました。
たまこまーけっとから育ててきた、たまこともち蔵の恋をただそのまま描いただけの小さなストーリーでした。
スタッフはけいおんを静かなる名作に仕上げ、原作者をも手を引かせた三人衆。
名作を目指さなかった物語「たまこまーけっと」「たまこラブストーリー」
これはドリーマー「デラちゃん」と商店街の普通より普通な登場人物による、
30年の時を超えた「ビューティフルドリーマー」への回答では、
と妄想を膨らませた懐かしすぎる感覚の一作でした。 {/netabare}
京都に行きたくなる作品ですね。個人的に行ったことは無いんです。