「AIR エアー(TVアニメ動画)」

総合得点
87.1
感想・評価
3361
棚に入れた
16559
ランキング
171
★★★★☆ 3.9 (3361)
物語
3.9
作画
3.7
声優
3.8
音楽
4.2
キャラ
3.7

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ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 2.0 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 1.0 状態:観終わった

何も分からなくて…夏

2005年制作のTVアニメ作品。全12話。
原作はゲームブランドKeyが制作した第2作目の恋愛アドベンチャーゲームです。
エロゲでありながら感動的なシナリオがウリの、いわゆる「泣きゲー」の名作として有名。
18禁版と全年齢版があるらしいのですがどちらも未プレイです。
そして、夏といえばこのアニメらしい。というわけで視聴してみましたよっと。

■作画
見始めてまず感じるのは異常なまでの作画クオリティ。
さすがに10年以上前の作品だし、最近のアニメの方が緻密で綺麗なのでは?そう思われるでしょう。
いや・・・AIRの作画は凄いと思う。
線路やアスファルトからは火傷しそうな熱さ、
海辺に座る少女の髪がなびくシーンでは海風の心地よさ、
夕暮れ時の街からは夏の香り。
あるはずのないものを画面から感じさせる、そんな作画です。

■音楽
本作のオープニング曲「鳥の詩」はゲーム音楽、アニソンでも屈指の人気を誇ります。
一部の層では「国歌」とまで崇められているものだから、
AIR自体は知らなくてもこの曲は昔から知っていました。
そんな大袈裟な、と思っていたのですがアニメを見ながら聞いてみると
その気持ちも分からなくもないです。
夏空を思わせる爽やかさ、遥かな時間を連想させる雄大さ、終わりゆく切なさを併せ持つ
歌詞と旋律は本作と絶妙にマッチしています。
オープニングの演出はクラナドAfter Storyとほぼ同じだけど、12回見ても全く飽きない。

挿入歌も良質です。ただクラナド同様に少し音量が大きく感じることがありました。
曲自体に思い入れのある原作ファンへの配慮なのかもしれませんが。

■声優
~略~

■キャラクター
いたる絵はやはり苦手!
彼女のキャラクターデザインにはいろいろ特徴があるのだけど、
横顔には特に違和感がないので目と目の間隔の広さに抵抗がある模様。
本作では目のハイライトを白く塗っているのでクラナドよりもその特徴が目立っている。

しかし、それ以上にキツかったのがキャラの性格です。
美少女ゲームなので登場人物はほとんど女の子。
モブも含めて、画面内に男は主人公とその辺のガキんちょ以外ほぼ映らない。
それはよいとして、問題は少女たちの性格がみんな物凄く子供っぽいこと。
『諸事情』によりヒロインたちは18歳以上という設定のはずなのですが、
言動はほとんど小学生レベル。
特にメインヒロインの観鈴は恐竜好きで口癖は「がお」「にはは」と極端に幼い。
これは無理。俺ロリコン趣味はないんだよ…

■ストーリー
さて、肝心のストーリーなのですが非常に難解です。
ストーリーを解説しているサイトがいくつもありますので、
視聴後に巡ってみると面白いかもしれません。

【注意】以下率直な感想。重要なネタバレあり。
{netabare}
特に分かりにくいのは最終話だと思います。

『観鈴にかけられた呪いですが、2つあります。
ひとつは「二人の心が近づけば、二人とも病んでしまう」という神奈の受けた呪い。
この呪いは往人が法術を使い観鈴に命を分け与えることで解かれます。
その代償という形で往人はカラス(そら)に転生します。
観鈴と晴子が心を近づけられるようになるのは、彼が身を捧げて呪いを解いたからなのです。
しかし間もなくして観鈴は再び体調を崩し、記憶も一部失ってしまいます。
これがもうひとつの呪いで、翼人の記憶は人間の許容量を超えているため
耐え切れず命果ててしまうというもの。
この呪いは観鈴と晴子が本当の家族になる幸せな最期をむかえ、
翼人が種族としての役目を全うすることで終止符が打たれます。
ラストシーンで海辺にいる2人の子供は往人と観鈴の転生した姿。
少女は呪いから解かれ、家族になるという1000年前の約束を果たすことができます。
つまりAIRは表面上は悲劇に見えますが、実はハッピーエンドの物語だったのです。』

…という感じのことが解説サイトには書いてあったんだ。
えっと、どっから突っ込みを入れていいか分からないのだけど。
まずこんなのアニメ見ても分かるわけないだろ!!

実は視聴中、話がサッパリ分からなくてポカーンとしてました。
状況がよく把握できないうちに何やら悲しげな音楽が流れてきて
明らかな「泣かせ」のシーンに突入するから困る。
待ってくれ、まだこっちは心の準備できてないんですけど。
どう見ても感動的な場面なのに没入感が低く、感情が揺さぶられません。

AIRでは現実ではありえない不可思議な出来事や「奇跡」がいくつも起こります。
そのうちどれが設定としてそのまま受け入れるべきもので
どれが各場面に散らばるヒントから理由を導けるものなのか、見てて全然分からない。
往人の法術が人形動かす以外に何ができて何ができないのかもよく分からない。
それらを曖昧なまま物語を進めるのは、
もうシナリオライターが確信犯的にやっていることなんですね。

考察サイトを見れば、熱心なファンがそれらしき説明をしてくれています。
が、台詞や設定を元に推測をいくつも重ねてようやく成立している不安定な仮説です。

なぜ肝心の翼の生えた少女を救う方法を母から聞いていなかったのか?
なぜ2人は数日タイムスリップして時間軸が重なった状態で転生するのか?
エトセトラ、エトセトラ。疑問は次から次へと沸いてきます。

申し訳ありませんが、ちょっと意地悪に矛盾点を指摘すれば
足場がグラついて簡単に崩れてしまうように見えました。

結局この物語のSF要素はロジカルに組み立てられたものではく
ハリボテの部分を隠して見せなければいけないのでしょう。
それも考えれば当然のこと。
「奇跡」を説得力のある形で見せるには設定を作り込んでシナリオを増やす必要がある。
当然コストはかかるしエロゲ特有のシステム、シナリオ分岐で整合を取るのは
気が遠くなる作業だと容易に想像できます。
副次的な産物のSF要素にはある程度手を抜かなければいつまでたってもゲームが完成しない。

極論を言うとゲームを手に取る人は美少女と泣ける感動要素を目当てに買うのだから
純真無垢な女の子を特別な存在に感じさせた上で、
その子を可哀想な目に合わせれば目的は達成できてしまう。
別にこれは穿った見方というわけではなくWikipediaの「泣きゲーの構造」という項目に
シナリオライターのコメントとして書いてありました。
クラナド・本作と見て、泣きゲーアニメの限界を感じます。

とはいえ僕がこのアニメを面白く感じない一番の理由は
女の子の描写が全く好みではないからだと思う。
正直なところ本編は見ていて苦痛で、
エンディングのパノラマ風景が広がる瞬間に凄い解放感がありました。
{/netabare}

■おわりに
エロゲアニメは、もうゴールしてもいいよね…

投稿 : 2017/10/17
閲覧 : 370
サンキュー:

30

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