101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ズレた合理主義の極致としての“幼女”と戦場
原作小説及びコミック版は未読。
20世紀前半の欧州らしき異世界。
大戦に明け暮れるドイツらしき「帝国」にて、魔導師の“幼女”が方々に毒を吐きつつ、
好むと好まざるとに関わらず(苦笑)軍人としてのし上がってしまう……。
シュールな構図が乱れ打たれる本作をどう評したら良いものか……。
というよりも、個人的には本作をすっかりエンジョイしてしまっていた、
私自身の精神状態が心配になって来る、そんな鑑賞体験でしたw
いや……困ったことに、このアニメ……見ていて終始ニヤニヤが止まらないんですよ~(苦笑)
“幼女”と戦場というギャップか?大戦で広がる地獄の突き抜け具合か?
はたまたそれらの有害物質が混ざり合った化学反応で、さらに危険な毒素が醸し出されているのか?
思い当たる節は山ほどありますがw
結局は主人公“幼女”ターニャ・デグレチャフの、
性悪だけど、どこか憎めない、その言動に惹かれていたのだと思います。
{netabare}空翔る軍人“幼女”とは、ターニャの合理主義に基づけば、
神こと“存在X”に最短で復讐する最善手が具現化した姿であるはず……。
ですが、はっきり言って変ですwズレてますwどうしてこうなった(笑)
合理主義的な論理思考が導く突破力の源は、
感情や固定観念の排除による、選択と集中。
よって直線的に鋭く前進できる時は強いですが、
想定外の事態に横からタックルされると意外と脆い。
そこを強行突破しようとすれば地獄がさらに極まるw
けれど執念深いターニャは例え悪魔と呼ばれてでもそれをやってしまいますw
合理的には正しいはずなのに現出する結果は概ね地獄w
そんなターニャの奮闘を見ていると酷いけど可愛いな♪と思う危険な瞬間がありますw
いるいるいるよね貝社員♪といった感じで笑みをたたえつつ見守りたくなりなってしまいますw {/netabare}
印象的だったシーンは第伍話の最後。
{netabare} 魔導大隊を率いたターニャが、ダキア首都侵攻に先立ち、
“幼女”の萌え声で宣戦布告し、敵兵にガキの悪戯と錯覚されつつ、
“国際法上の義務”をしっかり果たしてから殲滅した件(笑)
西洋近代社会が人権擁護の先進を誇った国際法も、
理論武装した狂気の前では役に立たないなwと苦笑しつつ、
近代人が合理的な科学と思考で懸命に築き上げた文明。
世界がこんなはずじゃなかったの積み重ねで、
深刻化した戦局により存亡の危機に瀕した大戦についても考えさせられました。
“幼女”にしても大戦にしても、
本作はもしかしたらズレた合理主義がのたうち回るのを嗤う
ファルス(笑劇)なのかもしれません。{/netabare}
異世界設定で興味深かったのは、
{netabare}帝国が戦う欧州大戦が現実世界の戦間期に当たる年代に展開。
一次大戦末期から二次大戦が繋がっていくような様相を呈していったこと。
ターニャもめでたく「南方大陸」戦線に参戦されるようでw
“ラインの悪魔”から“砂漠の狐”にでも栄転されるのでしょうかw
さらに東方からは妖怪の首魁の如き、アブナイおっさんが狂宴参加を目論んでいるようでw{/netabare}
この辺り、是非、続編アニメ化にも期待したいですが……。
いずれにせよ、大戦と言う名の人類絶滅級の狂宴など、
一回限りでお開きにして欲しいと願います。