takearun さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
肉体死が精神死を意味するか
タイトルは「ID-0」(アイディー・ゼロ)ですね。
SFアニメですが、宇宙空間のワープあり、人体の精神転移あり、宇宙鉱物を探索する冒険モノもあり、ロボや宇宙船あり・・・と基本的なSF設定は盛り込んでありますね。これに謎の登場人物がエピソードの核となる・・・と。
主人公のイドは・・・・・・
{netabare}
「エバー・トランサー」と呼ばれる、肉体の「記憶」を半永久的にロボット(Iマシン)にコピーしたまま、ロボットとして過ごすという機械人間。
オリハルト掘削船で宇宙空間をともに過ごす仲間は、船長・グレイマンとその娘・クレア、この外に、オリハルトのエージェント・カーラやイドの相棒であるリック、ペットのファルザが乗船している。
登場人物はみな、宇宙空間全域で、オリハルトと呼ばれる鉱物資源を掘削する採掘員だが、イドと同様に精神を機械に移したエバートランサーでもある。
物語は、学生の身分であるミクリ・マヤが、研究掘削に失敗、Iマシンもろとも人体を宇宙空間に遺棄され、遭難者として掘削船クルーに保護されるところから始まります。これに、彙報掘削として追ってきた宇宙軍の中尉・ボルチコワ、謎の存在としてアリスと呼ばれる少女も道中に加わります。
このなかで、生身の身体を持っているのは、クレア、マヤ、ボルチコワ(カーラは途中で人体回収)ですが、人体を失ったものたちも、それぞれ訳ありでエバートランサーになっています。
{/netabare}
いわゆる「人型ロボット」といっても、外見を人に似せて造った命令で動くロボットから、より「人間」的存在に近づけようとするアンドロイドにしてもバイオロイドにしても、独立自行型のクローンであったとしても、「モノに魂は宿るのか」というのは永遠のテーマでもあります。
このアニメのなかでは「Iマシン」と呼んでいますが、主人公のイド自身が記憶喪失の状態のなかで広大な宇宙空間をさまよいながら自分探しをしているのもテーマになっているかと思います。
登場人物も示唆的な存在でいいですね。
{netabare}
イドはIマシン化したときに記憶を失っている。ただし、そのときに自らの「ID」データを検索した際の記録が「ID-0」だった。自らをイドと仮称することにしたわけだけど、「イド」とは自我のことでもあるし、タイトルとリンクしていてフフフ・・・とほくそ笑むよね。
命令をより忠実に実行し組織に順たらんとするボルチコワは、登場当初はよりロボット的に人物描写がされている。曰く、「このロボット野郎!」。
サイドヒロインのマヤは、生きるための漠然とした進路選択から、エピソードが進むにつれ、自己選択による生き方を見つけていくように見える。
軍属でありながら惨事を招き自ら落命するも、名を偽り掘削船長となるグレイマン。
優秀なエージェンシーであったカーラは、事故でエバートランサーとなるも、エピソードのなかで、人体を取りもどす。
{/netabare}
これら人物も「魂」や「精神」のようなものを、どこに置くのかといったテーマが、各エピソードとともに精神世界の揺らぎと成長が描かれて見ていて楽しかったです。
アニメーションもいいですね。
登場人物の掘削員らしからぬメカニカル感や、無音の宇宙空間であったり、従来の暑苦しいロボアニメとSFリアルアニメが融合してフルCGで描かれていて、ノリよく見れました。
個人的には、ひとまずマインドトランスしたいです。べつに違法だろうがエバートランサーになりたいです。