オキシドール大魔神 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
友情や家族愛を表現したかったのは伝わるが、なんか微妙
今作の物語のことの発端はと言えば、キーパーソンであるサキを助けるためにトンデモ装置を開発した父親だろう。他の人間を大勢犠牲にしてでも娘を助けようとするスタンスは理解できなくもないし、創作のキャラとして、そこまでの一貫性があるキャラはむしろ好きな部類なのだが、クレヨンしんちゃんの作風でこのスタンスのキャラはいかがなものかと思う。特段報いを受けているわけでもないのもなんだかなーと思う。今作に限らず、やってきた悪事に対して報いを受けず、有耶無耶になっている作品は少なからずあるものだが、それでも多少の罰は受けていたり(バトルものだったら、その時にボコられるとか)、悪事もやったけどそれを補うほどの善事もやったとか(ナルトのサスケ)などのなんらかの理由付けがなされていたり、具体的な理由付けなどはなくとも、それまでの描写から断罪のしようがないこと(これもナルトのサスケ。サスケ自身が強すぎるのと、親友が火影のナルト。武力的な断罪は実力者が束にならないと不可能)を察することができたりするものだが、今作ではそれがないように思える。
友情や家族愛を表現しようとしたのは伝わるが、所々強引な点は否めない。しんちゃん一派が、序盤においては特段の理由もなくサキに執着しすぎな気がする。まあ、友情が理屈ではないと言われればそれまでだが。サキ父に対し野原一家が頑張る姿には胸打たれるし、終盤のみさえも良かったは良かったが、みさえの説教シーンは、もうちょっと尺を使ってほしかった。
また、これも今作に限った話ではないが、それだけのことができるのに、どうしてそういう手段を取ってしまうのか、というそもそもの発端に不満を抱いてしまう。今作で言えば、トンデモ装置を作る技術やモチベーションがあって、だとしたらもっと穏当な方法探せよと思ってしまう。要するに極端なキャラがあまり好きではない。それがしっかりと裁かれ、その裁かれるところにカタルシスを持ってくるのがテーマだとか、それだったら今作は良作と言えるのだが……。
中盤以降も素直になれないサキに対して、しんちゃん一派が見捨てないところや、トラウマを乗り越えるサキは良かった。
ケツメイシの曲は良かった。