鸐 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
隠れた名作
CMの雰囲気が良く、以前から気になっていたタイトルでしたが、これならもうちょっと早くに観ておくべきだったかも。
雰囲気は淡々と、しっとり暗いダークファンタジーって感じです。
ダークファンタジーと言っても、シゴフミ(死者からの手紙)が生まれるまでの過程は、いじめだったり虐待だったりとかなり現実的なもの。
起因する出来事はありがちですが、題材とするには重めです。
しかしこの作品は暗すぎるということもなく、意外とあっさり観ることが出来ました。
この作品での死の扱い方は、
作中でミカが「人はいつか死ぬ」と言っていたり
痛みよりその場の感情が優先されていたり
置いて行かれた人が悲しみ過ぎていなかったり
周りの人が急に親しみを得る発言をしたり
ドライに描かれています。
これは死を描くことが目的なのではなく、残されたものがどう生きてゆくかが、物語のテーマとなっている為でしょう。
若者たちが親しい人の死から、いろんな心情を抱えて、悩んで、答えを見つけてゆく過程が、自分の10代の頃に感じていた疑問とリンクしてなかなか面白いです。
ダークファンタジーでありながら、青春ドラマとしての見所が素晴らしい作品だと感じました。
まあ…ちょっとファンタジーにしては物足りない感もあるのですが…
シゴフミ配達人のシステムについて説明不足な点があるのでもうちょっと膨らみがあるとより良いかもしれません。
作画はかなりこだわっておられるようで、特に色の出し方が良いです。
暗い部分が大胆に入ることによって明るさあるいは暗さを目立たせたり、明るさを拡散させることで、強い光を表現するといった工夫が随所に見られます。
これによって、あまり動く訳ではありませんが、とても印象深い絵に仕上がっているなと感じました。
2005年前後って結構こんな雰囲気のアニメが多かったと思います。
存在を知っていても、なんとなーく進んで観ようと思わなかったのは、その時は暗いアニメに困っていなかったからなのかも。
近頃のダークファンタジーは、人が沢山えげつない死に方をしたり、主人公が精神的に追い詰められて、気分の滅入るお話が多かったので落ち着いた雰囲気のアニメは、久々でかなり面白かったです。