岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ラブホテル...いるかな?
過去のトラウマが原因で話すことができない女の子がクラスでミュージカルをすることになり・・・、という物語自体は面白い。特にミュージカルという設定はアニメでは目新しい。ミュージカルの場面の演出も音楽をはじめ凝っていたと思うし、声優さんの歌唱力も十分。ただそう簡単にハッピーエンドとはいかないのが岡田さんの脚本。
ミュージカル前日に順が拓実と菜月との会話を聞いてショックを受け、当日学校に顔を出さなくなるという展開。ここからの一連の流れが個人的にはあまり入ってこなかったかな。その割にミュージカル後の登場人物の恋愛面に関しては曖昧にさらっと留めるので、なんのためにあんなに心をかき混ぜたんだという気持ちになる。であればもっと不純物を除いた、ピュアな人間模様の中で順の気持ちの揺れ動きを丁寧に描いた方が綺麗に収まった気もする。
個人的に気になったのは冒頭と終盤に描かれるラブホテルの下り。映画の場合色々な人が見ると思うので、深夜アニメではともかくこの演出の必要性をあまり感じない。生理的に受け入れられないという自分ような人間もいると思うし、「こういう踏み込んだアニメです」という単なるアピールにしか感じられず、違和感を感じた。
岡田さんの作品はトラウマを抱える登場人物が葛藤を通して成長するというお話が多く、それがダメというわけではない。本作は他の岡田さん作品に比べたら、まだマイルドな部類に入る作品な気はする。ただ例えばアニメ映画なら京アニの「たまこラブストーリー」のようにもっと安心して見れる作品も見たいなという気持ちもある。ご都合主義でも構わないので岡田さんがピュアな作品を作ったらどういう物語になるのか興味があるので、そういう一面も見てみたいと感じた。