takarock さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
なんてったってアイマス
今やアイドルアニメというのは一般的なジャンルですが、
その先駆けとなるのが、本作「THE IDOLM@STER(アニメ)」です。
「THE IDOLM@STER」は2005年にアーケードゲームとして登場して以来、
今なお愛され続けているビッグコンテンツですね。
さて、アイドルアニメというジャンルに馴染みのない方には、
こんなバイアスがかかってやいませんか?
所詮綺麗事ばっかで、「皆で一緒に頑張ろう!(キャピキャピ)」とか
ほざいてるだけだろ?と。
確かに、そういう作品はありますし、本作にもその要素はあります。
しかし、想像以上に本作は濃密な人間ドラマが描かれています。
全部観終えた時に「正直アイドルアニメをナメてた。。すみませんでした」
というような手の平返しをされた方もたくさんいると思いますw
それだけ出来がいいです。
では、ここからはネタバレありで語っていきたいと思います。
{netabare}「皆で一緒に頑張ろう!」というスタンスなのが、
本作の主人公格である天海春香ですが、
その対立軸となるのが、水瀬伊織、星井美希、如月千早です。
他のメンバーよりもいち早く売れたユニット(竜宮小町)のメンバーである
水瀬伊織は「全員がライバル」と思っています。
「春香は甘い!」このようなスタンスです。
星井美希は「とにかく自分が輝きたい、プロデューサー(ハニー)の一番になりたい」
と思っています。
だからこそ竜宮小町のメンバーになりたいと願ったし、
舞台の主役の座をかけて春香と争った時も
どうしても主役の座を射止めたいと固執したのです。
如月千早は春香とは最も親しい間柄であり、一番の理解者でもあります。
しかしスキャンダルに晒され、
歌えなくなってしまった時に、それを気遣う春香に対して
「余計なお節介はやめて!!」と突き放してしまいます。
この三者の言い分というのは、それぞれ異なっているのですが、
春香の「皆で一緒に頑張ろう!」というスタンスに対する
アンチテーゼとなっている点で、一致しているんですよね。
「皆で一緒に」なんてそんなものは所詮綺麗事、現実はそんなに甘くない。
このことを春香に突きつけることによって、
ただの綺麗事ばっかのアイドルアニメではなく、
濃密な人間ドラマに昇華されていると思います。
「竜宮小町」の存在もよかったです。
先に売れる者の存在によって、
竜宮小町以外のメンバーの焦燥、嫉妬、このような感情が描かれていました。
しかし、どのような状況に置かれても春香は自分の主張を決して曲げません。
春香は思います。
「確かに自分は甘いのかもしれない。余計なお節介を焼いているだけかもしれない。
でも、それでもやっぱり皆と一緒に進んでいきたい!」
私が本作で、特に注目してほしいポイントは、
何か問題が起きて、アイドルたちの士気が下がっている時に
誰がそのフォローをするのかということです。
本来だったらそれはプロデューサーの役目だろと思いますがw
ほとんどの場面でその役を担っているのが春香です。
竜宮小町が売れて他のアイドルたちとの差が広がっている時、
LIVEで上手くいかない時、美希がやる気をなくしてしまった時、
千早が歌えなくなってしまった時、
その他にも様々な場面で春香が765プロのメンバーたちに絶妙なフォローをしています。
常に仲間を想い、チームワークを大切にし、765プロを盛り立てようとする、
春香はその姿勢をどこまでも愚直に貫き通そうとします。
これはリーダーとしての役割であり、たとえばMCがその役だと思います。
花形のポジションかもしれませんが、決していいことばかりではないでしょう。
上手く回さなければという重圧に押し潰されそうになり、
番組内で揉め事が起こった時はその対処に追われ、
評判が悪ければその責任を問われる。
そんな損なことも多いリーダーの役割を春香は持ち前の前向きな姿勢でこなしていくのですが、
心の負担というのは徐々に積もり積もっていくものです。
そして皆が売れっ子になり、バラバラになってしまう中で
とうとう春香の心が決壊してしまいます。
「大事なLIVEだからこそ皆で集まって練習がしたい」
電話やメールで必死に呼び掛けるも、皆忙しくて集まれない。
そうした状況の中、次第に本来自分が何をしたかったのかも分からなくなってしまうのですが、
ここで一言。
そういう調整は大人がやりなさい!
十代の女の子にあれもこれも押し付けたら潰れてしまうのは当然でしょう。
プロデューサーが忙しいなら人を雇いなさい!
弱小プロダクションといっても、2クール目からの仕事量を考えれば
人を雇うくらいの余力は充分にあるでしょうよ。
アイドルは目の前の仕事に集中するだけでいいという環境を整えるのが
大人たちがやるべきことです。 そこんとこ反省しなさいよプロデューサー!社長!
ついでに律子さん!(あっ律子さんは未成年かw)
まぁこの点がちょっと不満と言えば不満な点ですが、
弱小プロダクションですし、急激に売れていったので対処を怠りましたという
エクスキューズも成立しますからねw
それに、やはり全体的な出来はよかったですし、
765プロが一体となってという絆を強く感じられる作りは素晴らしかったです。
個人的に一番涙腺が緩んだのは千早が再び歌えるようになったシーンですね。{/netabare}
おまけ「アイマスとデレマス(アニメ)」
{netabare}私は本作のレビューを書く前に、関連作品である
「アイドルマスター シンデレラガールズ」のレビューを書いているのですが、
今回改めて思ったのが、ストーリーの骨子は本作とほとんど同じです。
ただ、本作の765プロは弱小プロダクションですが、デレマスの346プロは業界大手ですし、
本作のアイドルたちは最初からアイドルを目指していたのに対して、
デレマスはスカウトから始まる物語です。
さらに、プロデューサーの立ち位置も違えば、
敵役も社外の人間か内部の人間かという違いもあります。
本作のストーリーの骨子を流用したものの、
上記したようなアイマスとデレマスの違いが、
作品全体の違和感として浮かび上がってしまったのが、デレマスかなと思います。
「あれ?このキャラ、こんな性格だったっけ?」とか、
「今問題となっているのは別に大した問題ではないのでは?」とか、
このように感じることが多かったですね。
本作の換骨奪胎を狙ったものであるならば、
もうちょっと詳細部分を調整する必要があったと思います。
あるいは、765プロと346プロとではまったく所属するアイドルが違う訳ですから、
346プロに所属するアイドルたちに合わせたストーリーを一から構築するとかね。
まぁあまりこの話をぐだぐだと語っても仕方ないので、
アイマスとデレマスはまったくの別作品と思うことにしますw
ただ、私はアニメに限らず、
アイマスのアイドルたちもデレマスのアイドルたちも大好きですw{/netabare}