四文字屋 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
鬱×サスペンス×サイコホラーに激しく幻惑され混乱の果てに
なんか奇妙なカタルシスに浸れる、夭折した今敏さんの監督デビュー作にして最高傑作。
夢と妄想と現実と虚構の入り乱れる展開は、まさに今監督のオハコって感じで、妄想代理人以外ではこの要素をコミカルやらファンタジーやらにに振ったりして、商業作品として無難にまとめているのだけど、デビュー作ゆえの「やってやるぜ」根性なのか、低予算ゆえに制作側の縛りが緩かったのか、遺憾なく本性が発揮されてて、「つらい!怖い!暗い!」に当てられ続けますが、その先に行き着けると、ほんとホッとします。
ガジェット類がこの20年で凄く新化したし、アイドルとかネットメディアのあり方も時代がかっている部分はあるんだけど、これは90年代に同時代を描いたアニメ作品共通のことなんで、気にしなければいいこと。むしろ、ストーカーや解離性障害といった問題をテーマの縦軸に、芸能界でのポジションとかサバイバルを賭けた生き様とかを横軸にしていて、内容は極めて現代的。
鬱系要素が強いし、視聴者を選ぶ作品ではあるが、アニメでなければ出来ない表現技法のひとつの到達点であり、紛うことなき傑作だと思う。