どらむろ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ゾンビ少女が戦う悲劇的ダークファンタジー。声優など難多し、でも好きな作品。
月刊少年ガンガンの漫画原作のダークファンタジー、前半サブタイトルの「赫」(アカ)、後半「玄」(クロ)合わせて全25(+1)話。
屍姫(シカバネヒメ)という、死んで蘇ったゾンビ少女たちが、生者に仇なす屍(シカバネ)を狩るべく死闘に身を投じる…
仏教系のダークな世界観と、派手なバトルアクションが見所でした。
…メインキャストの棒演技で悪名高い作品の一つなのですが、そこ含めて結構気に入ってます。
同時期高評価の「喰霊(ガレイ)-零-」に対し明暗が分かれてしまった不遇作、是非もない面も多いですが、捨て難い魅力ありです。
※レビューは全25話+未放送1話を纏めてます。
{netabare}『物語』
強い未練を残して死んだ者が「屍(シカバネ)」として蘇り生者に仇なすバケモノと化す世界観。
ゾンビ・クリーチャーバトルながら「未練」や「業」など仏教…というより日本的な死生観を背景にしたストーリー。
光言宗(こうごんしゅう)という仏教(密教のイメージ)の契約僧と契約した屍の少女・屍姫の星村眞姫那(ほしむら・まきな)と、平凡な少年・花神旺里(かがみ・おうり)とのボーイミーツガールでもあり。
ゾンビ&怨霊といった趣な屍がグロい&こわい。ホラーバトルとして良い感じ。
生と死。未練、妄執、狂気、それもまた哀しき人の性(サガ)…
全般に重苦しいダークファンタジーながら、セーラー服と機関銃よろしくハチャメチャバトルも(ややB級感含め)見応え十分でした。
マキナは契約僧である田神景世(たがみけいせい。オーリの兄貴)が傍にいれば不死身、不死身とはいえ、己を顧みない身も心もすり減らして闘う凄まじさ、哀しさが圧巻。
それを傍で見続けるオーリとの交流で徐々に心開く過程も良い。
おちゃらけた景世のお陰で意外とシリアス緩和されているシーン多いのも観易いです。
序盤~前半クールの1話完結の諸エピソードの方が良かった。
屍たちの哀しきドラマはさほど踏み込まないものの、人の無情さや残酷さ、対比で生き抜くマキナやオーリの輝きが伝わる。
凄く感動するわけでも良い話だった、わけでもなく、ただ、無常。
ダークな本作の雰囲気を活かしたホラー&無常感に魅力感じる。
オーリの友人が屍になってオーリが説得する回と、同僚の屍姫・水薙生(ミナイ)の哀しき末路が印象的。
前半クール(屍姫 赫)クライマックスである景世との別れは泣ける…。
後半クール(屍姫 玄)は、ここからイマイチ低調でした。
オーリ出生の秘密やマキナの宿命からの生き抜く意志の覚醒という全体の流れは良いんですが、そこに至るまでが冗長。
敵も味方もキャラ増えるも送儀嵩柾(そうぎ たかまさ)と山神異月(やまがみ いつき)のエピソード以外はあまり掘り下げず。
オーリ修行パートはともかく、メインヒロインのマキナが拘束され苦しむ展開が長い…
敵のドラマは赤紗(アカシャ)の復讐劇はかなり説得力あり終盤は盛り上がるものの、そこまでにオーリとマキナの関係が停滞していたり、敵も味方もキャラが散っていたのが残念。
七星は一見不気味だが実は幼女だった頭屋(トーヤ)のエピソードが、前半含めて特に切なくて良い感じ。
それ以外は「自分らは未練ではなく性(サガ)で動くのだ!」とか言いつつ未練と区別付かない辺り、微妙。
ラストも中途半端。でもオーリとマキナの生き抜くドラマとしては完結しており悪くない。
未放送エピソードの伊佐木と水薙生のエピソードも、(実は結構いい関係なのかな?)と思わせて順当に酷かった…
総じて、前半が面白く、後半微妙でした。
重く切ないダークホラーな雰囲気世界観は素晴らしいので、駄作と切り捨てるのは惜しい。
強く印象に残っており、捨て難いです。
『作画』
重苦しいダークホラー、クリーチャー相手にガンガン銃撃するアクションシーンが見応えあり。
ホラーとしてもスプラッターとしても本格派、怖い。
キャラデザもマキナはゾンビ少女として可愛かった。
(特に後半は)崩れるシーン多いのは残念。
『声優』
マキナ役の秋山奈々さんは本職では無い女優でアニメ声優としては拙かったけれど、はまり役でもあったと思う。
自ら人間性を捨てる屍姫の宿命…というキャラクターから見て、むしろ良かったような。
感情昂るシーンの迫力も悪くない。ただ、メリハリは今一歩かも。
…星村眞姫那=秋山奈々さん以外脳内再生できない程度には印象的でした。
オーリ役の羽染達也さんも俳優畑、秋山さんより更に拙い…
でも序盤は普通の高校生らしくてむしろ良い感じ。
ただ、山場の迫力は特に後半はやや惜しいです。
本職の藤原啓治さんの魅力が光った。
飄々とふざけるシーン、温かみのあるシーン、景世と本作の魅力かなり藤原さんの好演が大きいです。
『音楽』
OP「Beautiful fighter」複数あるEDいずれも非常に素晴らしいです。
マキナが背負う屍姫の宿命や哀しさを完璧に表現した歌詞、疾走する曲調。
楽曲面だけならば不朽の名作に思える。
『キャラ』
辛すぎる宿命背負ったマキナは結果的に素晴らしいツンデレで可愛かったです。
景世そしてオーリとの関りの中で次第に見せる、普通の女の子らしさがかわいい。
オーリは一見普通の高校生のようでいて、命知らずなお人好しは普通じゃない感じ。
出生の重さや兄貴・景世との絆で人間的に強くなる主人公。
田神景世の魅力が高かったです。(マイナーだろうけれど)何気に藤原啓治キャラで外せない一人。
一見不真面目な生臭坊主、でも実は聖職者としても人格的にも頼れる理想の大人だった。
「坊主は死んだ人のためにいるんじゃない。生きて悲しんでいる人たちのためにいるんだ」
物語的にも彼の死がクライマックス。
マキナ以外の屍姫たちも個性派で可愛いのですが、マキナとナナイ以外はあまり悲哀感じない。
光言宗の大人たちが皆良い感じ、上層部も信念と意地があったり見せ場あり。
ただ後半はキャラ多過ぎた感も…。{/netabare}