退会済のユーザー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
【大変良く出来てました・・・と思います】 われわれは皆、他人の不幸を平気で見られるほど強い(ラ・ロフシュフコー)
とは、昔読んだ「猫が直立して生活してる不思議世界」の漫画を描かれた漫画家先生が初期の短編に引用した箴言。本編サブタイに箴言が多用されてたのでチョット生意気してみました。
『学校』が「学習教養する場」より「疑似社会生活体験の場」となりつつある昨今、今までのいろんな作品で露骨ではなくてもそれらしいニュアンスを醸し出した学園モノは数あれど、本作はかなり「シビア目」だったと思いました。
学校の体制は「実社会」の如く、
クラスの全体評価(成績・生活態度)で決まる、学生支給のポイント(=金銭的役割)。
他のクラスを出し抜こうとして奸計を図るリーダーや、穏健共存(傍観?)を維持するリーダーたち。
上位になるほど優位な待遇(?)。
主人公の「Dクラス」はストーリー上「定番」の落ちこぼれクラス。
本来なら「一致団結」で勝ち進むような展開が「定番」になりそうだが、現代っ子らしく「我儘・自分勝手」な奴等ばかり。上昇思考も無く各個人の個性も思惑も見事にバラバラなので当然「民意」が纏まらないのがリアル感があるように思えました。
深刻なクラス優劣のおかげで、クラスカーストはありませんでしたが、いつ壊れてもおかしくない程あやふやな人間関係。
平田洋介がブレーカー役を担ってるおかげで暴走は留まってるものの、キャパを超える事態には流石に心折られかけましたね。
そして愚者は忠実に愚行を行い、トラブル・難問・他クラスの策略は「必然的」にやってくる。
そんな中、綾小路清隆の立ち振る舞いが不気味でもあり魅力的な本作品。目立たず、騒がず、奢らず、感情的な表情は無く「実力」はありながらソレを出さない強(したた)かさ。常に状況を達観・分析し、最善の策を起こすも決して矢面に出ない影の存在。
最初は生意気そうなキャラとして印象悪かったのですが、回が進むにつれて様々な問題を解決していくその手際に脅威すら感じます。(だって思惑や信念が全然読めないんだモン!)
仲間としてクラスメートに溶け込んではいるものの、みんな結局良いように彼に動かされているように見えます。まるで「フィクサー」みたいですね。
劇中ではサワリ程度で明かされた綾小路の経歴。並々ならぬ教育を受けてきたようですが彼の望みは何なのか?ミステリアスで気になり、2期が続いて欲しいところです。(あと櫛田桔梗の猫かぶりの原因とかね)
見終わってみるとキリがないほど色々と考えさせられます。
人の社会は大多数で生活する限り、決して平等にはならないのが現実(?)。
人を使う者、使われる者(進んでヤル者、恐喝で従うもの)。
己を偽り(隠し)、人を欺く処世術。
自己満足だけで終わる者は集団生活では役に立たない。(高円寺はハイスペックすぎ。何故このクラスに居る?)
策謀・奸計をめぐらす者、引っかかる者、それ以上に上手をいく者。
無知ゆえに愚行に走り、無知ゆえに反省も理解できず、無知ゆえに唯々辺りに喚き散らす醜態(大人になれよ)。
etc・・・
人により見方も様々ありそうで「学園モノ」と見るか?「駆け引き合戦」と見るか?「本格派疑似社会生活演習」と見るか?「人間心理哲学」と見るか?「ク〇アニメ」と見るか?
色々と論議が起きそうな気がします。
作画も綺麗に収めてましたし、ドラマ演出も渋め。個性的な人間群像として面白く見せていただきました。