「幻影ヲ駆ケル太陽(TVアニメ動画)」

総合得点
61.4
感想・評価
479
棚に入れた
2508
ランキング
5434
★★★★☆ 3.3 (479)
物語
3.2
作画
3.2
声優
3.4
音楽
3.5
キャラ
3.3

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「太陽の黒点」

生命の樹で、運命を俯瞰するタロット占いの世界。
タロットが示す、万物に宿る、幸運、不運は表裏一体との運命論。
正位置に出れば吉兆を告げるカードも、逆位置になれば真逆の不幸を暗示します。

変身ヒロインバトルである本作は、
タロットが醸すミステリアスな雰囲気をファッション感覚で世界観に纏うだけではなく、
より踏み込んで、運命の流転に肉薄するタロットや占いの諸要素を、
設定やシナリオの骨格に組み込んでいるのが特徴的。

例えば太陽の光は、大地や生命に活力を与え、豊穣をもたらしますが、
一方で強すぎる日差しは、日照りや飢饉をもたらし、
眩しすぎる光は、反面、濃い影も生む。

また古より太陽に現れる黒点は災厄を暗示するとの噂、予言の類いも後を絶ちません。

こうした太陽の功罪を想起させる導入にピンと来れば、
様々なきっかけで好転、暗転を繰り返す、
本作が展開する運命の物語に、
惹き付けられる何かを感じることができると思われます。


私が気に入っている話はepisodeⅤ

{netabare}ぎんかの父で、ディスカウントチェーンで人生一発逆転を決めた、ナニワの商人が、
かつての恩人で、暗黒面に堕ち、敵であるダエモニアと化してしまった会社社長に
道連れにされる難を、間一髪逃れるお話。

事前に厄介事を占われていた、ぎんかの父が、
果たして消費者クレームに直面。
ダエモニアの社長の罠である約束事をキャンセルして、
クレーム対応で誠意を見せて、お客様をファンにしてしまうという、
怪我の功名と危機回避を同時に成し遂げてしまう筋書きに、
本作が語る人生訓の特徴的な部分が表現されていたと思います。{/netabare}

その時は不幸だと思ったことが、後々、新たな可能性を開いた転機だったかもしれない……。
その逆もしかり……。

本作には占い師の会話も多いのですが、
その度に、一面的な価値観では判断しきれない、
運命の奥深さについて考えさせられました。

占い師は未来を言い当てる職業なのではない。
これから起こる出来事に心身が柔軟に対応するための
言葉を期待して皆、占い師の話に耳を傾けるのでしょう。

惜しむらくは、終盤。
私には少女に悲惨な運命を背負わせるトレンドに引きずられた展開にも見えました。
運命について別の見方をそっと示してくれる本作の良さが少し薄れた感じもしました。

ただ、時に過酷を極める少女たちの戦いを、
試練も未来への糧かもしれないと信じて見守った時間は有意義な一時でした。

今でも強すぎる太陽の日差しに目を細めた時などにふと思い出す……。
私にとっては評点以上に心に刺さっている作品です。

投稿 : 2017/08/03
閲覧 : 399
サンキュー:

21

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