◇fumi◆ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
過去も未来も星座も超えるから 抱きとめて
2006年公開の劇場用アニメ
制作マッドハウス 監督 細田守 原作 筒井康隆
1965年~1966の中学三年コース~高校一年コースに連載されたジュニア向け小説
筒井康隆曰く「初のライトノベルだ!」
この人は神戸からプロの小説家としての活動のために原宿のアパートに出てきていた。
ところが、「東海道戦争」で直木賞落選、「ベトナム観光公社」では落選ばかりか、
「不謹慎極まりない作品」を書いたとして文壇から追放(本人談)となり、
神戸の実家へ帰ることにした。
最後の連載作品「時をかける少女」が終わるとともに実家に帰ったわけだが、
1967年に鶴書房から刊行されたジュブナイル「時をかける少女」が長期ヒットで、
1972年にはNHKドラマ化(タイムトラベラー)で相当儲けたらしい。
このドラマは消去されて現存しない。
映画化は、1983年(大林宣彦監督)1997年(角川春樹監督)2006年(本作)2010年(谷口正晃監督)
テレビドラマは1972年、1985年、1994年、2002年、2016年
「伊豆の踊子」「君の名は」を超える国民的ストーリーとなってしまった。
さて、本作細田守版の劇場用アニメだが、アニメになったのはこれだけのようだ。
当時、劇場で観たけど、上映用のフィルムが14本しかないという小規模興行が、
9か月にわたるロングランで20万人近い入場者数を記録したという。
国内外での賞は23冠達成なんだって。
筒井康隆曰く「突っ込みどころ満載のストーリーだけど、タイトルが合ってればもうどうでもいいよ。」
だそうですw40年も前の作品は自分の手を離れたということでしょう。
原作とはストーリーが全然違います。
細田監督がおジャ魔女どれみの声優に原田知世を使ったことから、
マッドハウスの重役に持ち掛けられたという適当な経緯で制作が始まったという。
原作への敬意など全くない、細田流青春劇は賛否が分かれる処でしょうが、
タイムリープをSFとして使用しないというセカイ系的設定が、
新しい「時をかける少女」のスタンダードとなった意欲作と評価します。
面白い、面白くない、というのを超えた、まずは観るべき、そして自分の意見を持つべき作品だと思います。
そんなに単純な作品ではないと思います。
もはや「時をかける少女」は個人のものでは無い日本人の魂の一つですから。