モリノ さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
彼女の残した”嘘”とは・・・・?
クラッシックに感動したのは初めてかもしれません。いい作品です!
特に最終話、ヒロインが主人公と一緒に演奏し始めるところは涙がこみ上げてきます。
嵐のように天真爛漫な美少女中学生ヴァイオリニストとそれに振り回される、中学生天才ピアニストが主人公の物語。破天荒な彼女の言動の裏側にはある秘密があった―。実はタイトルの”嘘”は最終話で明かされるため、それまではただの青春群像劇かな、という所感だったのですが、最後の最後で明かされた”嘘”は切ない物でしたね。
この作品の良さはまず、私にとってそれまで退屈に聞こえていたクラシックに登場人物たちの機微を落とし込むことに成功したところでしょう。登場人物たちの思いに合わせて演奏が悲しげに、激しく、切なく感じられたのは新鮮な感覚でした。それに合わせた演出もお見事。最終話はすごくよかったです。
中学生にしては大人びて達観しすぎてるだろとか、主人公いつも母親のトラウマにおぼれてるなとか、脇役のキャラに焦点あてすぎじゃないか? など、そんなことは些細な問題なのです。
そして恐らく作品の肝であろう4月の嘘ですが、これは個人的には首をひねりました。これだけではなく母親の主人公に対する態度もうーん?と賛成しかねるものです。詳細は伏せますが、この嘘のせいで、主人公とヒロインが互いの気持ちをぶつけ合うだとか、傷つけあうだとか、大胆な告白だとか、そういった恋愛物の見どころにあたる部分をまるっきりそぎ落としてしまっているからです。
その嘘のせいで主人公は彼女に対して動きずらい立場となってしまい、結果彼女とのステージ以外での恋愛的なシーンがほとんどありません。
彼らは彼らの思いを音楽にのせて伝え合うという我々凡人からするとなかなか高度なことをやってのけます。そういう意味では幼馴染ちゃんが視聴者の代弁者のように見えてきます。
中学生なら、それこそ下手糞に思いっきり恋愛をしてほしかったかな、というのが惜しい点です。社会人だとか、そういう年齢であれば納得できた人も多いのではないかな・・・と邪推する次第です。
いずれにせよ、見て損はない作品だと思いました。