Tnguc さんの感想・評価
2.5
物語 : 2.5
作画 : 2.5
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
【酷評】 大変王子と喋らない猫かぶり。
~
「あの花」のメインスタッフによるオリジナル長編映画。
脚本は岡田麻里(おかだ・まり)。
無気力系男子高校生・坂上拓実(さかがみ・たくみ)と、
トラウマによって無言を貫くヒロイン・成瀬順(なるせ・じゅん)を中心に、
他2名のクラスメートを加えた計4名の生徒が繰り広げる青春ドラマ。
成瀬順のトラウマを克服する過程が一つのテーマとなっている。
序盤の展開から交流会に任命される辺りまでの流れは、
実写ドラマ的な雰囲気があって、とても丁寧な印象を受けたが、
成瀬順の設定の導入をファンタジーで誤魔化した点、
父親の言動が雑すぎるところは少し強引だと思った。
とくに成瀬家の両親は必要悪として扱われていたため、
この家族にはほとんど共感することができなかった。
序盤の展開を観て、はじめは青春ドラマという心構えで視聴をしていたが、
節々に差し込まれる成瀬順のあざとい描写によって、「結局はキャラ萌えアニメかよ…」とゲンナリした。
しかし、良くも悪くも終盤に裏切られたので、主にその点についてレビューをしようと思う。
裏切りの部分というのは、いわゆるホテルシーンのことであるが、
あれはなかなか強烈と言うか、人間臭い部分がほどよく強調されていて、
「よくもまぁここまで心の内が汚いヒロインを作れるなぁ…」と、ある意味で感心した。
基本的に、成瀬順という女に対しては「めんどくせぇ女だな…」の一辺倒であったが、
そこは脚本家の思惑通りなんだろうなと思う。
岡田麻里は、不遇な環境で育った少年少女を作り出すセンスだけは抜群にあると思う。
そんな面倒くさいヒロインに対して、主人公・坂上拓実が取った選択も、
成瀬順という地雷女を前にしたらごく自然な対応だったのかも知れない。
たとえアニメの世界であろうと「普通じゃない人間にはそれ相当の結末を与える」というスタンスは、
ご都合主義にまみれた昨今のアニメ作品に比べると、まだ見れるレベルではあったが、
視聴後の感想が「ふ~ん」しか沸いてこなかったのはどうなのかなと思う。
4人の青春劇に現実味はあったけど、感動はないなって感じ。「あぁそうですか…だから?」みたいな。
「成瀬順みたいな女がリアルにいたらこうなるわな」っていう納得はあったけど、
そんな人間をヒロインにしてまで、何を訴えたかったのかイマイチ分からない。
悲劇のヒロイン系女子とか、ケータイ小説が好きなメルヘン女子とか、
その辺りの人種にしか共感は得られないと思う。
少なくとも、萌えアニメが好きな人向けの作品ではないと思うが、
表面上だけで捉えると、成瀬順に萌える作品にしか見えないという矛盾。
これは、岡田麻里の脚本と、A1Pが表現する作画が合ってないからだと思う。
岡田麻里ってどの作品でもそうですけど、
視聴者が期待していた結末から単純に180度反転させて、
それをセンスとして持っていこうとする癖がありますが、
そういうのは王道が出来てからの方がええと思いますね。
まぁ彼女の作る物語は、自身の暗い過去から抽出しているだけなので、
ひねくれた作品ばかりになるのも仕方がないことかも知れませんが、
茨の道を進むのならばそれなりの結末は用意して欲しいな、と思う。
物語:★★☆☆☆ (とくに成瀬順の母親に感情移入するのはチョット難しい…)
作画:★★★★☆ (劇場版にしては普通)
声優:★★★☆☆ (可愛らしい、だけ)
音楽:★★☆☆☆ (EDがちょっと残念だったかな)
人物:★★★☆☆ (ある意味、心の内面がリアルだった)
個人的評価:★★☆☆☆ (2.5点)