kochiro さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
知らぬが仏
この作品は評判通り終始期待を裏切ることはありません。男というものはロマンチストなんだと再認識させられました。
斧での戦闘や艦隊戦とかには派手さはないものの、人が死ぬ、命が失われるという事実はしっかり表現されていました。
主人公はカリスマに秀でているラインハルト。さすがに主人公だけあって登場人物の中でも、もっとも人間的に描かれていたと感じました。自分の信念と現実との間で自分を納得させ折り合いをつけるところが幾度もありました。
一方、ヤンは現代人をよく表したキャラクターでした。誰かがやらないといけないことでも、それが自分である必要がない。そう考えがちな民主主義。自分がやりたいことと、やってほしいと期待されることとの間で悩むことは実際にあるし、逃げてしまえるのも民主主義ならではです。
ただし、この作品は絶対観るべきというようなおすすめ作品ではないと思えます。特に人を殺してはいけない。ということを理由を論じることなく共通認識として定着させている日本では、これと同様に思想的な前提として認識されている戦争はしてはいけない。に対する内容を理解させる必要を感じないからです。
知らぬが仏。戦争はそうであってほしい。それが私の願いです。
海外の戦争好きの人達には是非観てほしいと思います。日本的な戦争の捉え方を理解して相互理解の一助となれば素敵です。
この作品を観るのにおすすめの時期は晩年。例えば引退せずにいることで社会の弊害になってしまっていることに気が付いていない60代の団塊の世代でしょう。自分は必要とされていると思うのは自由ですが、若い世代からの強い支持が無いのであれば早く去る美学が必要だと思います。
老兵は惜しまれてこそ語られる。ラインハルトやユリアンのような若者に未来を託して去ることができれば最高ですね。
60歳になったらもう一度、この作品を観たいと思います。