やららら さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
タイトルなし
まず初めに、この「第一作目」の物語通しての評価は95点といったところでした。
世間でも評価が分かれていますが、僕的にはあの結末は100%納得のいくものではなかったからです。
本当に個人的な意見として、安っぽい結末になりますが平和な日常に戻るハッピーエンドを迎えてほしかった、というのが本音です。
逆を言えばたった12話で、それほどまでにまどか☆マギカのキャラクター、世界観に引き込まれてしまったということでもあります。
僕はいわゆる「萌えアニメ」は苦手なので、魔法少女と名前のつく今作には手を出すか迷いましたが、話題に推されて見てみるとあざとく萌えを誘うような描写はなく、甲高い声で媚びるような声の演技をする声優もおらず、難なく見通すことができました。
そしてその上で、一通り物語を見た後、キャラクターに対する愛着、感情移入の情が溢れてきました。「萌え」の一言で表すには惜しい感情です。
(蒼樹うめ先生の絵柄をどう思うかでかなり評価は変わるとも思いますが)
近未来的で光陰描写が印象的な見滝原の様子に、梶浦氏の幻想的な楽曲が見事に絡み合い、とても美しい世界が描かれていました。
また、途中で話はかなり重苦しくなりますが、あえて残酷な描写や過激な描写を用いないことで、演出的「安っぽさ」がなく、あくまでキャラクターの心情描写のみを用いてストーリーを展開している点も印象的です(その点、残酷描写を過剰に用いた外伝のおりこ☆マギカは安っぽく見えました)。
なんにせよ、かわいいキャラクターに魔法少女という王道題材を下地にしているにも関わらず、あえてアンチテーゼ的な展開に踏み切った熱意は素晴らしいと思います。
また、三話のあの展開もただ「奇を衒う」だけの浅はかな意図で作ったわけではないし、
「意外な展開」や「魔法少女なのに微グロ」というセンセーショナルな話題だけを掲げている人も多いですが、直接的なグロ描写は意図的に極力抑えられているし、作品の本質はそこでも「鬱」でもないでしょう。
原点としての魔法少女まどか☆マギカのお話は幕を閉じましたが、このお話の性質上物語には無限の可能性があります。
わざわざ幕開けとともに始まり、ラストで幕を閉めるのは「ひとつの物語、作品」として、視聴者に意識させるための演出だと解釈しています。
また違った世界線の新作や続編に期待しています。
「今回のお話」としての魔法少女まどか☆マギカは自分の中では95点ですが、オリジナルアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」という作品に対して惜しみなく100点の評価をしたいと思います。
追記:ここまでベタボメしましたが、まどか☆マギカが人を選ぶ作品なのは事実だと思います。
なぜならこの作品にはまっている人(実際はほとんどのアニメ作品でそうなのですが)のほとんどが、ストーリー以上に絵柄、音楽、演出などの世界観に魅了されているからです。
「顔面ホームベース」などとも揶揄される蒼樹うめ先生の超個性的なキャラクターデザインに
劇団犬カレーによる超個性的魔女空間
やたらと引き伸ばした演出が施された家や学校、町並みなどの舞台設計(キャッチボールができるくらい広く描かれたまどかの家の洗面所が象徴的です)
さらに虚淵玄さんの陰鬱なストーリー
これら全ての要素は、多くの人を惹きつけるというよりはある一定の人を吸い寄せ、残りは遠ざけるような要素だと思います。
味覚で表せば「苦味」、音楽で言えば「ヘヴィメタル」、ラーメンなら「超こってり」
とても癖のあるアニメですが、それを「良い」ととるか「悪い」と取るかでこのアニメの感想は180度変わってしまいます。